4月5日(金)、四万十川流域でも技術者不足が課題になっている石積みについて学ぶべく、愛媛県は西予市明浜町のみかん農園で行われた石積み学校に参加してきました。明浜町は愛媛県の南予に位置し、宇和海に面した急傾斜地の多い町です。そんな地形を活用した果樹栽培が盛んで、たくさんの陽射しと潮風を受けて育ったみかんは、明浜の特産品になっています。
昨年の7月に西日本で起こった豪雨災害、各地で川の氾濫や土砂崩れなど大きな被害が出ましたが、ここ明浜のみかん畑も石垣が崩れるなどの被害が出ました。今回は、その復旧作業も兼ねての開催です。

今回石積みを行ったみかん農園。周りの景色からも
わかるように、かなり高いところにあります。

この日修復したのは、みかん農園の脇を流れる水路の石垣。講師の金子先生に教わりながら、石垣を修復していきます。

まずは石を積む前に、石を積むスペースを作るために土砂を掘っていきます。この作業(床掘り)が石積みにかかる作業の中で6割を占めるといわれ、地味ですが結構大変です。積み石の後ろにぐり石を詰めるため、だいたい積み石の2倍程度の奥行きで掘っていきます。今回は水路ということもあり、多めにぐり石を詰める必要があったので、休憩をとりつつ、汗だくになりながら掘り進めていきました。

この作業が終わればいよいよ石積みです。まずは大きな石を面を決めて置いていきます。積み方にもコツがあり、ある程度長さのある石を使うこと、上から見て直角になるように置くこと、奥が低くなるように置くことなどに気をつけながら、形の合う石を積んでいきます。

石を一つ積んだらぐり石を詰めていくのですが、これが重要。石積みには「一ぐり、二いし、三に積み」という言葉があり、石積みの中で一番大切なのがぐり石なんだそう。石の積み方が多少悪くても、しっかりぐり石を詰めてグラグラしないように上手く石にかませることが大切です。

朝9時から午後4時過ぎまでの作業で、水路の石垣は見違えるほどきれいになり、素人でも力を合わせれば立派な石垣を作ることができるんだなと感動しました。四万十川流域でも棚田や民家に石垣が見られ、それらは重要文化的景観にもなっていますが、石積み技術の継承が大きな課題となっています。今回の体験は、今後文化的景観の保全を進めていくうえでとてもいい経験になりました。

参加者のみなさんお疲れさまでした。