晩秋の花の写真が四万十市杉村さんから届きました。花の主役は今、山ではなく海です。

ハッカ(シソ科)

よく知られたミントの仲間(ペパーミント、スペアミント、クールミントなど)で、湿地に生育します。この仲間ではメントールの含有量が多く、清涼感の強い香りがあります。ガム、ハミガキ、シャンプーや湿布薬、胃腸薬、育毛剤など、日用品から医薬品まで幅広く使われています。湿地の減少に伴って、少なくなっている植物です。(四万十川百名花の83、2012年10月24日撮影、於:四万十市不破)

スズメウリ(ウリ科)

川の側や山麓の湿地などに生える、つる性の植物。夏、葉腋に白く小さな花をつけて、秋には白い球状の液果になります。花よりも、実の方が目につきます。カラスウリと同じ仲間ですが、こちらは実の色がオレンジ色なので、簡単に区別できます。(2012年10月24日撮影、於:四万十市田野川)

ナギナタコウジュ(シソ科)

名は片側だけに花をつける花序の形を薙刀に例えたもの。やや深山に生え、全草にその土地を思わせる森林のような芳香があります。写真の個体は中心の茎が無くなっていますが、これは鹿が食べた跡です。(四万十川百名花の82、2012年11月10日撮影、於:四万十市ほけが森)

※本種のように香りのクセの強い植物というのは、これまで鹿の食害というのはほとんど無かったのですが、このような植物まで食べられるというのは異常事態です。山の手入れというのを真剣に考えて、策を早急に講ずる必要があります。

センブリ(リンドウ科)

里山の競合の少ない場所に生え、ガレ場などに多い傾向があります。「良薬は口に苦し」の諺とおりの植物で、主に胃腸薬に幅広く用いられ、最近では育毛剤にも多く使われています。ただ、山の手入れがなされなくなって生育環境が失われ、数が大変少なくなっています。(四万十川百名花の99、撮影於:四万十市勝間川)

ボタンボウフウ(セリ科)

沿海地に生え、名は葉がボタンに似ることによります。幡多、四万十川流域ではあまり多く無い植物ですが、造花のような花、葉は観葉植物としても観賞価値の高い植物です。(四万十川百名花の87、撮影於:土佐清水市貝の川)

ツメレンゲ(ベンケイソウ科)

沿海地の岩場に生え、高知県西部では土佐清水市から大月町の海岸線だけに見られます。生育環境や全体の雰囲気から受ける印象は、サボテンのようです。一帯の海には圧倒的な美しさがあり、場所によっては白い花が青い海によく映えます。(2012年11月10日撮影、於:土佐清水市歯朶の浦)