四万十町の山里にひっそりたたずむ松葉川温泉から、舗装されていない山道、県道322号線を走ること15分。四万十町と梼原町の境に位置する通称:春分峠(春分の日に開通したためこう呼ばれるらしい)に出る。晴れた日にはここから太平洋が望める。
四万十川の清流を育んできた四万十の森、久保谷山風景林とは、この春分峠付近に位置し、太古からの原生林がダイナミックに循環しながら世代交代を繰り返す“生きた森”だ。
林相は、四万十町側が杉・ヒノキの人工林と天然生針広混交林、梼原町側が樅・ツガ・ヒノキに広葉樹を交えた天然生針広混交林からなっていて、大径の樅・ツガ・ヒノキなどの針葉樹とアカガシ・ウラガシ・ツクバネガシなどの樹高20~30mの常緑広葉樹が混生する、四国中西部に於ける温暖帯上部の代表的かつ貴重な天然林の森林だ。
森林の中に足を踏みいれると、巨樹巨木ばかりでなく、様々な生きものとも遭遇できる。『地球上に生きているのは自分たち人間ばかりでは、当然ない!』と、あらためて気付かせてくれる、そんな森だ。