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四万十川のくらし 産業

四万十川流域の産業

高知県の四万十川流域の市町は1市4町で、そのほとんどが中山間地域となっています。川は流域の生活と密に結びつき、沈下橋など特有の風景を示します。文化面でも国の重要無形民俗文化財に指定された津野山神楽を有する津野山文化から、公家が興した一条文化までバリエーションに富んでいます。
※東津野村は平成17年2月1日に葉山村と合併し津野町となっています。
※中村市と西土佐村は合併し、17年4月10日から四万十市となっています。
※大野見村は平成18年1月1日に(旧)中土佐町と合併し、中土佐町となっています。
※窪川町と大正町、十和村は平成18年3月20日に合併し、四万十町となっています。

流域内の総生産額は約1,885億円(平成7年)で、県総生産の約8%に相当します。第1次産業の比率は県平均を上回っており、川漁など流域の自然に依存する割合が他地域より高くなっています。農業では全国的な産地化が形成されている地域もあります。


林業

四万十流域の森林面積

四万十の森林

四万十川流域の森林面積は189,218haで、流域面積227,000haの83%を占めます。森林総蓄積は31,050,000立方メートルで、内24,343,000立方メートルが人工林です。また、四万十川流域の森林は民有林が大部分を占めており総面積の78%にあたります。 高知県の四万十流域5市町の森林面積は117,084haで、おおよそ70%を人工林が占めています。
出典:四万十川流域の森林現況(H9.4.1現在)中村工事事務所

市町村別森林構成

流域市町村の内、最も天然林が残っているのが旧十和村で50%を超しています。逆に植林の最も進んでいるのが旧大野見村で森林の3/4が人工林となっています。

四万十流域の森林状況グラフ
出典:四万十川流域の森林現況(H9.4.1現在)中村工事事務所

農業

四万十流域の土地利用構成

四万十流域の農地

四万十川流域5市町の総面積1743キロ平方メートルのほとんどは山林で、農用地面積はその4%に満たない65.82キロ平方メートルです。内訳は田4,973ha、畑1,232ha、牧草・採草地が377haとなっています。
出典:「土地利用現況把握調査・公共施設用地に関する調査」高知県土地対策課


市町村別・農業粗生産額グラフ
四万十流域の農業

四万十川流域5市町の農家数は6,797戸で、専業農家比率は各市町村とも20~25%と県平均の31%を下回っています。農家人口の増減率は平成2年から7年ノかけて85%前後で県平均とほぼ同じですが、流域内では旧中村市が79.76%と最も高く、旧大野見村が最も低い92.87%の減少率です。
出典:県政の主要指標



環境保全型農業

化学肥料や農薬などの環境への影響を少なくし、環境と生産を調和させるため、有機物資源のリサイクル、新たに開発された生産技術などを取り入れた農業で、家畜糞尿の完熟堆肥化から利用にいたるまでのシステムづくりをめざす環境保全型畜産業と共に、四万十川流域の農地の保全と農業の振興をねらいとしています。

認証制度

認証制度は正式名称を「高知県農産物特別表示認証制度」といい、無農薬農産物や有機農産物・8割減農産物について、県の定めた基準をクリアーしていることを表す認証マークが貼付されます。

かえるんど写真
かえるんど

旧窪川町の女性グループ・ヤングスマイルクラブが開発にかかわった生ゴミを簡単に堆肥に変える製品。1袋25リットル入りで4人家族1月分相当の生ゴミを処理できます。※取り扱いはJAしまんと


千枚田(棚田)

中山間地に見られる棚田の風景で四万十川流域では檮原町神在居が有名。石を積んで築かれた棚田が険しい山の上まで続いており、「耕して天に至る」風景が見られます。千枚田の写真




農作物

ショウガ

旧窪川町は県下一のショウガ産地で、作付面積約130ha・出荷量3,380tは共に高知県の23%近くを占めます。ハウスショウガ栽培は旧中村市が主産地で6ha・約300tの出荷量があります。
仁井田米

旧窪川町東部の仁井田地区は冷涼な台地気候により、昔から美味しい米の産地として有名で、高知県内では仁井田米の名で知られています。
スプレー菊

「花とロマンの里づくり」のキャッチフレーズの元、旧大正町で平成5年度より栽培を開始。平成9年度には栽培面積250a・生産量188万7千本まで拡がりました。。

四万十流域は仁淀川流域に次ぐ茶の産地で、旧十和村・旧東津野村を始め旧窪川町・檮原町・旧大野見村で栽培され、「四万十の茶」の名で市場にも出回っています。
畜産物

旧窪川町は県下有数の畜産地区で、乳用牛では県下の12%、肉用牛では20%、豚では45%のシェアを占めています。
クリ

旧西土佐村を中心にして旧十和村・旧大正町・檮原町・旧中村市などはクリ栽培が盛んで、四万十流域だけで県下の生産量の60%近くを占めています。

漁業

四万十川の漁業

四万十川はその魚種の多さと漁業資源の豊富さにより、川で生計をたてる川漁師が現存している数少ない川です。主な漁業対象もアユを始めとして10種ほどありますが、近年河川環境の変化により収量の減少が続いています。

四万十川主要漁獲量推移

出典:高知県農林水産統計年報

漁業者数の一覧表
漁業者

四万十川には5つの漁業組合があり、四万十川上流淡水漁協が佐賀取水堰から上流域で、他の4漁協は佐賀取水堰及び津賀ダムから下流域と区分されています。組合員総数は平成10年現在2,446名です。四万十川では漁協等が中心となり稚アユの放流が行なわれています。アユの生産量の減少につれ放流量も年々増加しており昭和63年、2,947kgであった放流量が平成9年には12,655kgにまで増えました。四万十川での養殖業は旧中村市のアオノリ養殖のみで、45業者による収量は平成9年は99tでした。出典:水産業協同組合要覧

あゆ市場の写真
あゆ市場

旧西土佐村江川崎にある四万十川西部漁協の直営市場。すべて天然物のアユ・ウナギ・カニ・エビを扱っています。一般客も利用でき、発送も行なっています。



四万十川藻類生産量推移グラフ
アオノリ

スジアオノリは糸状をした汽水域によく繁殖する緑藻の一種で、10月頃から成育を始め、11月から1月にかけて一番成長し、糸状体は50~60cmに伸びます。この時期に成長したスジアオノリは「冬ノリ」と呼ばれ、採取されたノリは河原に張られた縄に架けられ寒風で半日乾燥してから取りいれられます。出典:高知県農林水産統計年報

ヒトエグサ生産量推移グラフ
ヒトエグサ

ヒトエグサにはヒトエグサとヒロハノヒトエグサの2種ありますが、「アオサ」として河口に近い竹島川で養殖されているのはヒロハノヒトエグサです。河口域に張った網の上で9月下旬から成育します。出典:高知県農林水産統計年報