急斜面に広がる茶畑を愛でながら味わう、香り高いお茶。

源流域津野町は、かつて土佐三大銘茶の一つ「六蔵茶」として知られたお茶の産地。谷沿いの斜面に緑美しい茶畑景観が広がります。標高も高く山に囲まれたこの地域では、楮(こうぞ)や桑(くわ)、昔とうきびなど、時代とともに作物は変わりましたが、斜面地を活用した農業が営まれてきました。

適度な日照と朝霧、昼夜の寒暖差が大きい津野でつくられるお茶は「津野山茶」と呼ばれ、旨味・甘味・苦味の絶妙なバランスと味わいの深さが自慢です。茶葉はもちろん、お茶を使ったお菓子も人気のお土産物です。お茶のカクテル「津野山ビール」もご賞味を。

急斜面のお茶畑

四万十川の源流域にあたる津野町と梼原町。源流域というだけあって山に囲まれたこの地域では、広い水田はあまり見られません。農地のうち水田が占める割合が高い下流域や中流域と違い、源流域は畑と水田がほぼ互角。平地が少ないこの地域では、水田を作るとしても山の斜面を活用した棚田が主流で、十分な水が確保できないような場所では畑が多く作られてきました。特に津野町は四万十川流域のなかでもお茶の生産が盛んな地域です。標高も高く日当たりも良いので昼夜の寒暖差も大きく霧が頻繁に発生する、四国山地の麓にあり雨も多い、おまけに赤土で水はけが良いとお茶の生産にはもってこいでした。そのため美しい茶畑が町中に広がっていますが、なかでも津野の茶畑と言えばこれ!という景観が楽しめるのが桂集落です。須崎方面から県道197号線を梼原方面に向かい、道の駅布施ヶ坂より少し手前、桂トンネルを抜けたすぐ左に、急斜面に何段にも作られた茶畑が広がっています。道路を挟んで右側にも、また向かいの山にも茶畑が広がっています。

茶畑が作られる前は畑を作って昔とうきびや粟、神の原料である楮などを生産していました。津野町口目ヶ市集落にも現在茶畑が広がっていますが、かつては楮を生産し、愛媛のほうから買い付けに来る行商人で賑わい、宿屋なども多かったといいます。

焼畑

焼畑とは、林地を伐採して焼いた土地に畑を作るもので、主に麦や蕎麦、粟やトウモロコシなどが作られました。3~4年経てば徐々に土の養分も減り痩せてしまうので、別の場所で焼畑を作るというサイクルで、徐々に移動しながら行われていました。
藩政期、現在の津野町と梼原町では焼畑が盛んに行われ、特に梼原町は焼畑の規模が全国でもトップレベルだったといわれています。明治に入ると紙の原料であるミツマタが栽培されるようになり、梼原の特産品になり、昭和初期に焼畑は最盛期を迎えましたが、林業の隆盛とともに減少し、現在は行われていません。焼畑だった場所は植林で当時の面影を失いました。県内では仁淀川町の焼畑が有名ですが、そこでも津野、梼原同様、山の斜面を活用した集落、農業が展開されています。雑穀類、ミツマタ、茶と時代によって作られるものは変わりましたが、斜面地を活用した農業は今も続いています。

関連情報

津野山茶の楽しみ方

【スポット】桂集落の茶畑

概要
津野町桂地区に拡がる茶畑の景観。急な斜面地に広がる茶畑の緑が鮮やかで美しいです。お茶の産地津野町ならではの景観であり、重要文化的景観に選定されています。
所在地
高知県高岡郡津野町船戸桂集落

【スイーツ】満天の星

概要
津野町産のほうじ茶を使ったスイーツが人気のお店です。高知市内にも店舗があります。
所在地
高知県高岡郡津野町船戸4939
TEL
0889-62-3335
HP
満天の星HP

【販売】津野山JA高知県津野山営農経済センター

概要
津野町・梼原町で穫れたお米やお茶などを販売しています。
所在地
高知県高岡郡津野町北川2281-4

【販売】道の駅布施ヶ坂

概要
地元で穫れた新鮮野菜や津野山茶、お土産品が並びます。食堂では地元食材を使った料理が楽しめます。
所在地
高知県高岡郡津野町船戸小宮谷654-1
TEL
0889-62-3225

【イベント】津野町茶畑ウォーキング

概要
美しい茶畑が広がる桂集落を散策し、茶摘みや釜炒りなどお茶づくりも体験できる、津野町のお茶文化を存分に楽しめるイベントです。
開催場所
高知県高岡郡津野町船戸桂集落
開催時期
毎年5月