サイフォン式水路

概要

概要

川を挟んで右岸と左岸に隣り合う芳生野集落と下野。水路のある芳生野から下野への用水は困難を極めました。断崖に阻まれたこの地に水を運ぶため使われた技術が逆サイフォン式の水路です。このおかげでキビや豆ばかりだった畑は美しい水田となりました。

特徴

明治44年、芳生野地域をより豊かにするべく一大治水工事が始まりました。水の少なかったこの地に5㎞先から水を引いてきたのです。しかし川の左岸、下野地区は川岸が険しく水路が築けません。そこで使われたのが逆サイフォン式の水路です。水路から水を落とし、川底に埋めた土管（当時は松の木をくり抜いたもの）を通った水は、10m近い断崖を押し上げられて対岸から吹き出します。

～誕生秘話～
逆サイフォン式の水路は高低差のある場所に水を運ぶため古くから使われてきた土木技術です。江戸時代には「伏せ越し」などと呼ばれていました。芳生野地区では明治44年から完成までに10年を費やして水路を整備しました。当時は多くの集落の人々が工事に参加したと言われ、この工事を指揮した岡村初太郎の胸像が芳生野地区に作られています。かつては赤土や松の木で水路・連通管を作っていましたが、現在はコンクリートで補強されています。