概要

 花の開花や天候など、自然の動きを指標に、漁を行うタイミングをはかる四万十川流域ならではの知恵。自然や生き物をよく観察しながら暮らしてきたことの表れである。

特徴

 生き物はカレンダー通りに行動するわけではありません。そのため、自然や気候に合わせて生き物の動きを予測したほうが、より正確に読み解くことができます。四万十川流域にはこのような自然暦が複数伝わっており、今も漁をするうえで欠かせない知識として受け継がれています。主に花の開花時期が指標になることが多く、下流から源流域までさまざまな知恵が伝わっています。

~自然歴一覧~
○イタドリの花が咲いた頃にツガニが下る、クズの花が咲いた頃にツガニが下る
 西土佐より下流ではイタドリ、西土佐より上流ではクズの花が咲いたらツガニが下ると言われていたそう。8月から10月頃に下流に下るためそれを捕まえる。それからカニの味が良くなるため、それまでは捕らなかった。

○レンゲの花が咲くころに冠水した田んぼでフナが産卵する
 中筋川流域に伝わるフナの産卵時期を知らせる知恵。川から冠水した田んぼに上がってきたフナを捕まえる。

○5月~8月までの闇夜、虫が飛ぶ蒸し暑い雨が降りそうな夜にウナギをしゃくる
 夜の11時~2時頃まで行う。上記の夜は浅瀬にいる小さなアユをウナギが食べに来ている。(勝間)

○アユが潮を飲みたい
 鮎のセバリ漁を行う時期。10月頃、アユが中村のほうに下る頃に行う。その頃の風の強く吹く日、雨が降り、増水しそうな日などに群れになって下がってくる。(黒尊)

○河原のヨシが12~15mに伸びた頃にイダが立つ(産卵に集まる)(源流域)

○ヨシが伸びてくる頃からウナギが捕れだす、梅雨からイタドリの花の咲く頃がウナギの最盛期、
 イタドリの花が咲く頃になるとウエによく入る(梼原川)

○ネコヤナギの花が咲く頃にアメゴはよく釣れる(梼原川・北川川)

○ウナギのヒゴ釣りはイタドリの花盛りが旬(北川川)

○ウナギの延縄は川ツツジが咲く頃によく釣れる(北川川)

○桜の頃のハヤを「サクラバヤ」といい、産卵期を迎えるため食いつきがよく美味(北川川)

○カジカ(カエル)が泣き出すとイダの産卵が始まる(北川川)

基礎情報

見られるエリア:四万十市 四万十町 中土佐町 梼原町 津野町
見られる時期:年中

問い合わせ先

(公財)四万十川財団  TEL:0880-29-0200