令和元年度四万十リバーマスター連絡会を行いました。今回は、「四万十川在来のアメゴ」をテーマに、勉強会を実施しました。アメゴとは四万十川流域の方言で、一般的にはアマゴと呼ばれる魚です。

 四万十川には在来種と考えられるアマゴがいることをご存知ですか?

在来アメゴは、養殖ものとは明らかに特徴が違い、四万十川の豊かな生態系を代表する貴重な魚ですが、近年養殖アマゴの放流や、イワナの密放流の影響によってその数が減少しています。そこで今、地域住民と大学教授等が連携して、在来アメゴを守っていこうという取り組みが行われています。今回は、その当事者である高知大学名誉教授の町田吉彦先生と、四万十リバーマスターの豊田庄司さん、土井明さんを講師にお招きし、在来アマゴの説明と、保護の取り組みについてお話しいただきました。

連絡会の内容は議事録に詳しく記載していますので是非ご覧ください。
令和元年度四万十リバーマスター議事録

 「アマゴのはなし」 町田 吉彦氏

 町田先生には「アマゴのはなし」ということで、アメゴがどういう魚であるか、どのようにして四国に入ってきたのか、また地域別に見たアメゴの特徴や過度な放流やイワナ、カワウがもたらす影響、そしてなぜ在来アメゴを保護しなければいけないのかをお話しいただきました。

 今回のお話の中で個人的に一番印象深かったのは、過度な放流がどのような影響を及ぼすのかということ。今高知県では過度な放流によって生態系を崩しかねない、そんな状況にある川もあるのだとお話しいただきました。資源回復のため放流というのも一つの手ではありますが、それによってどんな影響が起きるのか、慎重に考える必要もあると思います。

 「よみがえれ四万十源流の会活動紹介」 豊田 庄二氏

 四万十川の源流域、津野町に住む豊田さんはアメゴ釣りの名人で、近くの北川川でアメゴ釣りを楽しんできました。小さいころから親しんできた北川川、やがて合流する四万十川を守りたいと、地域住民や専門家と一緒に「よみがえれ四万十源流の会」を立ち上げ、これまで源流域の自然や文化をまとめた冊子や、北川川に近自然工法を取り入れる活動などを行ってきました。また町田先生とも協力し、在来アメゴ「津野山アメゴ」の調査を行っています。津野山アメゴは、パーマークが大きい円形で、6~8個と少ないのが特徴です。しかしこのアメゴの保護活動は豊田さんや土居さんなど、個人レベルで行っているというのが現状で、今後は行政なり、仲間を募るなどして活動を促進させていきたいとのことでした。

「天然アメゴ保護の取り組み紹介」 土居 明氏

 四万十町大正に住んでいる土居さんは、四万十在来のアメゴに魅せられて長年在来アメゴの保護・養殖を個人で取り組んでおられるまさにアメゴのエキスパート。講演ではご自身が行ってきたアメゴの養殖について失敗談を交えてお話しいただきました。土居さん自ら交配を行い、育てたアメゴを川に戻すことまでやっているそうだから驚き。在来アメゴは人家や耕地もないところでないともう残っておらず、最近はアオサギやカワウが増え、アマゴも被害にあっている可能性があると言います。

土居さんが養殖しているアメゴ

 今回の勉強会で、四万十川には在来のアメゴがいること、それを守る活動が行われているがまだ個人レベルでの活動で今後は行政等、しっかりした組織でもって保護活動に取り組む必要があることを共有することができました。町田先生からは、地域の自然がその地域の文化を形成するのであり、在来アメゴは地域の文化形成において重要な要素なのだとお話しいただきました。在来アメゴは四万十の大切な文化です。財団でもリバーマスターの方々と連携しながら、大切な文化を守れるようできることから始めていきたいと思います。