四万十川自然再生協議会主催の「四万十の水辺八十八ヶ所めぐり~上流の水辺~バスツアー」に参加してきました。

四万十川自然再生協議会では、地域の暮らしに根付いた四万十川らしい風景88ヶ所を「四万十の水辺」として選定し、標柱を立てています。国の重要文化的景観にも選定されている四万十川の原風景や魅力ある場所を多くの方に知っていただき、足を運んでもらうことで、四万十川の風景や環境が長く守られ、活力ある地域づくりに繋がっていくことを願って行われている事業です。

流域は広いので、再生協では6年で1周するペースでバスツアーを開催し、その際に標柱を磨いたり、傷んでいないかチェックしたりしています。

今年は北川沿いから梼原にかけて巡りました。最初に向かったのは北川川、津野町新田津野中央小学校下にある近自然河川工法による改修箇所(59番/88)。「近自然河川工法」は、河川の環境や生態系を復元するための工法で、高知県では㈱西日本科学技術研究所の福留脩文さんが中心になって広めました。昭和56(1981)年、集落用地を確保するために行われた河川改修で落差が生じたため、魚が自由に行き来できるように近自然工法で再改修しました。ここは今でも視察に訪れる人がいます。

次に行ったのは津野町芳生野の早瀬の一本橋(60番/88)。
ちょうど吉村寅太郎邸の前あたりにあって、集落と対岸の諏訪神社を結んでいます。四万十川の沈下橋の原型といわれ、流れ橋とも呼ばれるこの橋は、長さ9m、幅60cm、厚さ30cmほどの木の板3枚でできた橋で、古来より地域間の行き来のため重要な役割を担っていました。4日後に諏訪神社のお祭りがあるそうで(諏訪神社の祭りは毎年11月19日)、ここでは津野山古式神楽が奉納されますが、今年は前19演目をすべて奉納する(←通し神楽といいます)そうで、その準備に忙しそうでした。

3番目は恋のパワースポット、長沢の滝(61番/88)。
四国カルスト・天狗高原に向かう途中にある滝で、落差は34m。針葉樹の緑に包まれ、ハート型に削れた穴から一気に流れ落ちる滝(←だから恋のパワースポット!!)のしぶきや黒く光る岩肌、青々と水をたたえた深渕の景観は、手前にある橋とともに一枚の絵のようです。

・・・とここまでは順調だったのですが、お次の不入渓谷(62番/88)で落とし穴が待っていました。ここは四万十川源流点の裏側にあたる北川川支流の渓谷で、かつて、木材を流すためにお堂を建てて祀ったことから、「堂立て渓谷」の別名があり、渓谷の上流には落差36.2mの「長樽の滝」があります。春のアケボノツツジや秋の紅葉が映える場所です。と手の美しく気持ちのいいところなんですが、歩けどもあるけども標柱にたどり着けない。足を痛めている事務局のHさんは途中で断念して引き返したほか、気が付けばはじめはあんなにいた参加者が気づけば少数精鋭に。だいぶ時間が押してしまいました。

不入渓谷から戻って、堂の口開け祭り大わらじ(58番/88)。
600年以上前から続く伝統行事で、毎年2月末に宮谷地区の住民が明王寺薬師堂に集まり、大わらじと大注連縄(おおしめなわ)を作ります。地区の入口に魔除けとして飾られるわらじの 大きさは、縦2m、重さ200kg超にもなります。

巻き気味に、次は高野の廻り舞台・三島神社(58番/88)。
わが国唯一の鍋蓋上廻(なべぶたうわまわ)し式舞台です。国の重要有形民俗文化財に指定され、4年に一度、地区の人々によって農村歌舞伎が上演されます。また、諏訪神社と同じく重要無形民俗文化財の津野山古式神楽が奉納されます。

昼前最後は、神在居の千枚田(68番/88)。
司馬遼太郎が「農民の大遺産」と絶賛した棚田で、日本の棚田オーナー制度発祥の地です。開発起源は中世(平安~室町)ともいわれ、国の重要文化的景観に選定されているほか、「日本の棚田百選」(農林水産省)、「かおり風景100選」(環境省)にも選ばれています。

昼食をすまして、三島神社(67番/88)へ。
秋の神祭では、ここでも国の重要無形民俗文化財である津野山神楽が奉納されます。坂本龍馬はこの神社の裏山を通って脱藩したといわれ、現在も往時を偲ばせる道が残っています。

中古屋橋(69番/88)。
四万十川の支流梼原川に架かる橋で、梼原町の中心部から国道440号に沿って移動すると最初に見える沈下橋です。梼原町の沈下橋の中でも訪れる人の多い橋です。
■ 架橋年:昭和34(1959)年
■ 橋 長:30.0m 
■幅 員:2.8m

川角橋(66番/88)。
梼原川の支流四万川川(しまがわがわ)に架かる沈下橋です。この橋は、四万十川に係る沈下橋の中でも指折りの低さで、橋から川原に直接降りることができます。
■ 架橋年:昭和35(1960)年
■ 橋 長:29.9m 
■幅 員:2.3m

竹の薮沈下橋(65番/88)。
国道197号から県道2号線に入って最初の沈下橋です。橋のたもとには民家があり、子どもたちが川遊びを楽しむ姿が見られます。橋の下を流れるのは梼原川の支流四万川川(しまがわがわ)です。
■ 架橋年:昭和54(1979)年
■ 橋 長:30.2m 
■幅 員:2.0m

最後は仲間(なかいだ)沈下橋(64番/88)。
国道197号沿いに位置し、四万十川の第2支流の四万川川(しまがわがわ)に架かっている沈下橋。この場所はアユの漁場としても人気があります。
■ 架橋年:昭和48(1973)年
■ 橋 長:42.0m 
■幅 員:1.5m

といったところで今回のバスツアーは終了です。再生協の皆さん、お疲れさまでした。