源流

四万十川の源流点は、うっそうと樹林が生い茂る津野町(旧東津野村)の北西部・不入山(イラズヤマ:標高1336m)の南東部、標高約1200m付近にあります。
津野町船戸から、標識を頼りに車で約30分ほどで「源流点石碑広場」に到着。さらに、そこから徒歩で約15分ほど原生林を進んだところが源流点とされており、四万十川源流点を示す標識が設置されています。

特徴

四万十川は、流域の地形や河川形状、水量、景観などによって、津野町(旧東津野村)の源流点から四万十町(旧窪川町)の佐賀取水堰まで(上流)、佐賀取水堰から四万十市(旧西土佐村)の広見川合流点まで(中流)と、広見川合流点から四万十市(旧中村市)の河口まで(下流)に大別されます。

上流は比較的直線的な急流、中流は大蛇行と多くの岩場、下流はゆったりとした流れに加え、緩やかな蛇行と白い砂州が調和した風景が見られます。
日本の多くの河川が直線的な急流であるのに対して、四万十川では上流の一部を除いて、蛇行を繰り返しながら非常にゆったりとした流れが続いていることが特徴です。

この緩やかな流れが、生活排水やにごりなどの汚濁に対して大変弱い体質をつくっているといえます。

四万十川の特徴は、蛇行を繰り返していることですが、それにより流域面積に比べて、幹川流路が長く、川の勾配が非常に緩やか( 平均河床勾配は0.61%、特に梼原川合流点(標高125m)から河口までの106kmは0.12%と大変小さい値となっています )です。国内の他の河川と比べてみれば分かりますが、ゆったりと流れていることが一目瞭然です。この流れが四万十川の運命を決めたとも言われます。勾配が緩やかなためダムを造ろうとした場合、水没面積が大きくなり、ダム建設が容易でなかったことや、初心者のカヌーに適した場所である一方、流速が遅いため、汚れに弱い体質になっているなど、緩やかな勾配が長所・短所にもなっています。

四万十川は他の河川同様に、下流部において川の道を変えていっています。その昔、中村の佐田の池の本、寺の池を通って入田の元池から具同を流れ、坂本の具重において中筋川と合流していたことがあり、これを前川時代といっています。当時の面影を物語るものとして入田に残る元池があります。また、具同の古川を通って中筋川ゴゼ礁において、中筋川に合流していた時代もあり、これを古川時代といっています。その後、寛弘6年(1009年)の洪水の時と言われていますが、佐田付近の流れはしだいに西に移り、その反動により水流は左折し、入田の佐田ノ原から東流して、だいたい現在の河川の形となりました。

四万十川とダム

四万十川は、「ダムの無い川」として全国に紹介されました。実際には 河川法で規定する ダム(堰堤高15m以上)こそありませんが、源流地点から50km程下流の四万十町(旧窪川町)家地川地区に、佐賀取水堰(高さ8m)があります。

四万十川には、本川と支川を合わせて6つ(佐賀、梼原第1、第2、第3、津賀、松葉川〕の発電所があり、認可最大出力45,020KWの発電が行なわれています。このうち、本川にある佐賀取水堰(通称:家地川ダム)は発電用水として、最大で12.52㎡/sを使用しています。

魅力

四万十川の魅力は、川本来の原風景が保たれ、そこに住む人々との係わりがあるところにあります。人の暮らしとともにある川、それが四万十川です。

<自然・景観的魅力>

四万十川は周囲の山々を借景にゆったりと流れ、下流域では清らかな流れ(青)、自然豊かな川岸(緑)、目にしみる砂州(白)が調和した美しい景観がみられます。また、この自然景観に融け込んだ生活文化的遺産ともいえる「沈下橋」が、本流には大小合わせて22か所あり、四万十川の魅力を一層引き立てています。平成22年2月に四万十川は国の重要文化的景観に選定されました。

<生活文化的魅力>

四万十川流域は日常的に川と深いかかわりを持ち、自然、風土、歴史、文化が融け合った里山の原風景が残っています。また、アユの火振り漁やウナギのイシグロ漁、柴漬け漁、ゴリのガラ引き漁などの伝統漁法等、地域の人々の暮らしと結びついた生活文化の魅力があります。

<水産資源的魅力>

平成12年に作られた四万十川財団の旧HPには以下のようにあります。

〈四万十川の天然繁殖魚は94種で全国第1位、遡上可能区間の割合は94%(平成元年度)で四国第1位、全国第6位です。藻類収穫量が全国第1位で、アユ漁獲高も河川延長1kmあたりの漁獲量が全国第1位です。天然アユ、ウナギ、エビ、カニなどの味覚に出会え、日本の河川では珍しい専業の川漁師もいます。〉

今現在の四万十川は、この当時とは遠くかけ離れてしまいました。全国シェア1位を誇っていた藻類も鮎も不漁が続いています。ウナギも全国各地の河川同様漁獲量が激減していますし、テナガエビ類も獲れなくなりました。原因についてはっきりしたことがまだ分かっていませんが、環境の悪化がその根っこにあることは否めません。もちろん、アユについては産卵環境の改善を図ったり、テナガエビ類に関しては試験的に禁漁期を設ける、などの対策をとっていますが、以前の四万十川の豊かさからはほど遠いのが現状です。

人間の手で壊してしまったものは人間の手で戻さねばなりません。道のりは遠いと思いますが、かつての豊かな四万十川に戻していけるよう活動していきます。多くの皆様の知恵と力を私たちにお貸しいただきますようお願いいたします。

<体験型レジャー的魅力>

四万十川では豊かな自然を背景に、アユ釣り、キャンプや、流れが緩やかなことから初心者を中心としたカヌーなど、四季を通じての体験型レジャーが楽しめます。