池田組合長(左)、事務員谷口さん(右)

組合長 池田十三生氏

子どもの頃から川で泳いでいた。夏になったら川にずっといて、夏休みが終わっても台風が来て水が冷たいと思うまで川にいた。山と川が遊び場だった。

祖父が火振り漁をよくやっていた。小学生の時はパンをかじりながら火振りが終わるのを待っていたことを覚えている。昔は氷もクーラーもないから、獲れた鮎をたらいにいっぱい入れて、河原で祖母が鮎を焼いて乾燥させていた。どこかに売っていたのだと思うけど、どうしてたんだろうか。

子どもの時は、鰻の延縄を仕掛けて、近くのお兄さんと一緒に朝3時にあげに行っていたのが楽しかった。

今は、火振り漁をやっている。昨年は4~5回行った。大人になっても川との関りはずっとあった。四万十川を大事にしようという想いで、森林ボランティア朝霧森林クラブに入り、漁協にも入って活動していた。東又、遠山の植物を守る活動もしていて、やりたいことがたくさんあって大変だった。

今の組合長は外商、営業ができる人が必要だと感じる。イベントや前組合長が契約していた全国の料亭に鮎を売っている。

四万十川上流淡水漁業協同組合の基本情報

  • 組合員数:257人

組合長になる前は今より100人以上多かった。ほとんどが年寄り。しばらく資源がなくて鮎がいないとやめていく人も多かった。去年は鮎が多かったから若い人でもやろうという人がいる。

  • 管轄:家地川堰堤~東津野船戸の堰

窪川地区、松葉川地区、大野見地区の3地区に分けられてそれぞれ支部長がいる。58か所の火振り箇所があり、今は30くらい。一つの淵で昔は3組くらいの船が出てたが、今は1組。

  • 主な漁法:鮎(友釣り、しゃびき、つんじゃくり、火振り、投げ網)昔はだっこ(ウエットスーツ)着た人が大野見から窪川まで下って鮎のいるいないをしっかり見ていた。うなぎ(大野見~秋丸で石をショウレンで起こしながら鰻をとっている人もいた。)、あめご(今はほとんどやらない。放流してもカワウとかが来て小さいのを食べて大きくなれない。)、ウグイ(たちイダ)
  • 組合員の特徴:

釣りきち、鮎きちがおる。仕事をほったらかして、仕事はへらへらやっているのに釣りになると一生懸命で見てて笑っちゃう。こんな人がいると楽しいね。

三堰でしゃびきをずっとしている人もいる。鮎をどこまでも追いかけて漁業権のないところ(上流淡水の管轄外)まで行って怒られたって。

年長は昭和10年生まれで今はようようやっていて、川に降りるのにできるだけ軽くしたいからと川にいろんな装置をつけている。年少は平成12年生まれで、農業手伝いをして投げ網や火振りの手伝いをしている。家族で川に行って釣りをする小学生も。大野見は10年したら漁をする人がいなくなると言う人もいる。

鮎をかけにきたつりきち (四万十町 三堰)
  • 歴史:

昭和25年に漁協がオープン。最初から鮎の受け取りをして独自で販売していた。氷詰めした鮎を汽車で大阪に送っていた。当時なかなか買い手がおったらしい。組合員も多く、漁協に鮎がいっぱい入ってもまだ川にはたくさんの鮎がいるぞと思うほど鮎もいた。昭和38年の台風災害以来漁獲が減ってきた。上流淡水は県下でも特異な漁協。ダムの補助金も少ないから、漁協をどう運営するかと考えて、鮎の販売(出荷やイベント)で資金を得て人を雇い、組合員の報酬を支払っている。

  • 取組

1.鮎の受け取り・販売:

事務所を新築したので、鮎を表で焼いて今まで2回販売してみた。(売り上げは)雨だとだめ。1尾500円くらいで売るが半額キャンペーンもやった。漁師のためのとりくみだが、今年と去年は鮎が多くて買い上げできず「あまり持ってこないで」と言っている。どうにか売りたい。

前から放流鮎の資金にしようと火振りのオーナー制をとっているからその鮎として獲る。1万円を出してオーナーになってもらい、2キロの鮎を送るという制度。50口ほどある。

生鮎を受け取りして、冷凍した鮎は漁協の冷凍庫に入れるしかなく、いっぱいになったら場所がない。あぐりのメニューに出してほしいとお願いしているが、なかなか出してもらえない。マルシェに出してくれていて好評だったがイベントがコロナでできていない。どうやって広げていこうか悩んでいる。焼いたのを真空にしたら売れるのか?販売ルート、能力がない。販売法を開拓したい。

鮎の入荷
入荷したての鮎
獲れたての鮎をそのまま生鮎で送っている
鮎の出荷準備
夕方の漁協は入荷と出荷でバタバタ

2.放流事業

Q四万十川上流淡水漁業協同組合の課題とこれから

  • アユの販売に頭を悩ませている

魚がおらんと楽しみにならん。組合長になってから赤字にならずに頑張っていたが、コロナでイベントがなくて店に送れない鮎を出す場所がなくなった。出す場所がないから受け取りも許容量が足りないからちょっと待ってと言って受け取れない。全部を売っていく方法を考えたい。ネット?早くからHPを作って販売もしていた。ふるさと納税、ドットコム、生協。ふるさと納税も1年目は、鮎が獲れなくて、持ってきてとお願いしても全然足りなかった。四万十鰻はたくさんあるからうらやましかった。お客さんが逃げてしまって、もったいなかった。キレイな鮎を送れば紹介をしてもらえたのに。生の鮎をメインに売っている。その日に獲れたものを釣りの人に持ってくる前まで生かしてもらって、氷で絞め、氷詰めにして送る。生鮎はすぐダメになるけど、冷蔵庫にそのまま入れられて、ぐちゃぐちゃになったと言われて困るときもあった。その注文量を超えると冷凍になる。冷凍は良い鮎、美味しい鮎としてはどうだろう。

  • 砂利

下流の人が話しているけど、上流は砂利が溜まっている場所とない場所が様々にある。一斗俵の大橋の下はヨセの河原があったが、ヨセをどかしたら砂利がどこかに行った。十和の河内の方は淵に砂利が溜まっているらしい。淵があったところがなくなっている?大井野の上、鍛冶屋瀬橋、西かわじの、大井野の堰の上、三せきあたり

  • 組合員の減少
砂で埋まった河原(四万十町 川口)
右岸側の魚道が砂利や砂で埋まった堰(中土佐町大野見 竹原)

魚がおったり資源があったら組合員は増えるだろうけど。大吞に魚がとどまらんようになった。大野見でしゃくっても奇形種が見つかるようだ。

  • 資源がない

鮎だけじゃなくウナギも少なくなった。

  • 山が荒れている

雨が降ったら濁る。山が裸になってきている。作業道をつけて赤土がむき出し。そのまま谷に崩れたものが落ちてきている。山林は皆伐され、川に負荷がかかっている。路網を考えてほしい。

Q四万十川に対しての想いを聞かせてください。

皆伐によってのっぺらになった山 土砂崩れ下の小川に大量の土砂が流入している(四万十町 森ケ内)

声を上げて清流を守ろうと思っている。キレイにしていたい。

水が出たらその後に出たごみの清掃活動に行く活動を始めている。組合員には百姓をしている人も多いからその隙間を縫っていけるように。アレチウリの除去にも取り組んでいる。アレチウリは覆い被さって樹木を枯れさせる。去年から始めて2トントラックいっぱいに集めたけど、今年は根だけ取ればいいと分かり根だけ引いた。

Q川漁をしたい人達へメッセージ

まずは、鑑札を買って教えてもらってください。紹介はするけど、その人も川やりたいから獲れるようにしてくれるかはわからない。練習して。

四万十川の川漁師になってください。四万十川を一緒に良くしていきましょう。

上流淡水漁協事務所
中学生の漁師もいます

四万十川上流淡水漁業協同組合

電話:0880-22-1673

住所:高岡郡四万十町榊山町7番14号

HP:http://www.shimantogawa-joryu.com/

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