清流通信でご紹介したもりとみず基金が手掛ける講演会に参加してきました。講師は浜田久美子さん。元々、精神科のカウンセラーをされていたようですが、うつ病になってしまい、その時に森に助けられて、これは何としてでも森に恩返しをしなければならないと思ったそうです。森に関する著書もたくさん書かれています。
森にとって一番危険なのは、人間の「無関心」。森の問題を自分事にしてもらうにはどうしたら良いか、森と人の接点を探し求めて、辿り着いた結論が、「水」。水の先にある森に人々の想いをいたらせようとする事にしたそうです。印象に残った内容を共有します。
水を涵養するためには、林床が大事。どういう林床が理想的かというと、有機物が含まれた団粒構造の「ふかふかの土」だそうです。ふかふかの土にしてくれるのは、ミミズなど地中の生き物達。生き物達のフンのネバネバで土が団粒構造になり、スポンジのように隙間が多いため、大雨の時には水はけがよく、雨が降らない季節にも、団粒内に水を貯えるそうです。
なので、地中の生き物=分解者を増やすことが、水の涵養の最大のポイントになる。それでは分解者を増やすにはどうしたら良いか。その答えが、多様な樹種の森にしていくことだとおっしゃっていました。多様な樹種の森にしていく事で、分解者が増え、水の涵養になるそうです。
ではどうすれば、多様な樹種の森になっていくのか。重要な働きをしてくれるのが「菌根菌」。樹木の根の先端部分には菌根菌と呼ばれる微生物が共生していて、光合成で作られた糖を樹木からもらう代わりに、窒素やリンなど必要な栄養を与えている事を紹介してもらいました。
菌根菌には、キノコとなって地表に現れる「外生菌根菌」と、地上に現れない「内生菌根菌」の2種類があり、日本の山では外生菌根菌が優勢であり、アカマツやカラマツ、コナラやシイやブナなどが外生菌根菌と共生関係にある事を教えていただきました。
スギやヒノキは内生菌根菌と共生関係にあるそうです。なので、スギやヒノキは、下草刈や除伐など人間が手入れしてあげないと、優勢な外生菌根菌と共生関係にある樹木に負けてしまうそうです。
森づくりにおいて、大変参考になるお話でした。ふかふかな土、大切にしたいですね。多様性のある森づくりは、四万十川の洪水防止や水の浄化にとっても重要な事だと思います。