毎年、四万十川流域の漁協関係者、行政担当者を対象に、高知西南中核工業団地(宿毛市)の水質報告会が行われています。併せて講演会も行われますが、今年は「四万十川におけるテナガエビ属資源の回復に向けて」と題して、河川水生動物調査 代表の 平賀洋之 さんが講演されました。

まずテナガエビには3種類あることを教えていただきました。河口から60kmまでの淵に生息するミナミテナガエビ、河口から100kmまでの瀬に生息するヒラテテナガエビ、河口付近の淵の砂泥底に生息するテナガエビです。

エビ筒などの漁の対象になるのは主にミナミとヒラテですが、2010年から激減した事により2018年から四万十川流域では、9月~翌3月までの7カ月間がテナガエビの禁漁期間となりました。

禁漁期間を設けた事によりどうなったのでしょう。個体数(生息密度)は2倍以上になり、分布域も拡大した事が調査により判明したそうです。しかし、サイズには大きな変化はなく、小型化を解消するには至ってようです。

また四万十川では大型オスと大型抱卵メスが少ないことが分かっています。大型個体が少ない問題点は、メスの抱卵数が少なかったり、エビの赤ちゃんの生存率の低下に繋がる可能性があったりするようです。特に大型のオスが少ない事で大型メスが交接相手に恵まれなかったり、いたとしても繁殖成功率が低下している可能性があるそうです。

真実味のある素敵な写真だと思いませんか?

「大型♂の保護が今後の課題」のようですが、そもそも四万十川で大型オスが少ない要因は何なのでしょうか。その可能性として、エビ筒漁の漁獲圧があるとのこと。エビ筒に入るのは、大型のオスに偏るのだそうです。↓↓↓

その対策としてエビ筒の入口径(コジタの入り口)を15mm以下にすることにより大型個体の保護出来る事を教えていただきました。とても勉強になるお話でした。

高知西南中核工業団地の水質調査の発表も特に異常はなく、オールクリアでした。