四万十の地で開催された「第3回石積み甲子園」。今回はその様子をレポートします。

■ 石積み甲子園2025:大会概要
- 日時:2025年11月2日(日)9:00~16:00
- 会場:四万十町大井川付近の農地(住民センター近く)
- 主催:石積み学校、協力:四万十川財団 など
- 参加校:高知県立四万十高等学校、高知県立安芸高等学校、愛媛県立伊予農業高等学校、愛媛大学附属高等学校、徳島県立城西高等学校神山校
前日の会場下見と交流会


大会前日、まずは会場となった四万十町大井川に各校が下見に来ました。通常は同じ幅と高さで石を積み上げ競技が行われるのですが、今回はスロープになった場所に既設の石積みを延長していきますので、既設の石積みとの取り合いがある場所、縦長になる場所、横長になる場所もあり、場所選びも大きなポイントだったと思います。各校念入りに現場を確認し、翌日の場所選びジャンケンに備えていました。


下見が終わったら、メインの宿泊施設となった「ウェル花夢」に場所を移し、各校のメンバー紹介や意気込みを述べてもらったり、財団からは四万十川の紹介をさせていただきました。そのあと、お待ちかねの交流会です。豪華な地元料理がたくさん並んでいましたが、さすがは食べ盛りの高校生、すごい勢いで平らげていきました!





■ 高校生たちの真剣勝負 ― 競技の様子


さて、大会当日。パリッとした作業着姿の高校生達が集まり、まずは開会式。続いて場所決めのジャンケンを行いました。ジャンケンに勝った神山校が第一希望の左端を選び、つづいて四万十高校がその右隣を選びました。神山校は前日、地元の大井河神社をお参りしていましたので、運も味方したのかもしれませんね。

石積みは9:00ぴったりに始まり、お昼休憩をはさんで15:00までの長丁場ですが、開始直後から、手際よく、根石を据えるための床掘りを行ったり、慎重かつスピーディに数ある積み石の中から良い物を確保したり、道具を整理して身の回りの安全管理を行ったり、各校チームワークを発揮しながら取り掛かりました。

午前中は、こんな感じで終了しました。左上から順番に安芸高校、伊予農、愛大付属、四万十高、神山校です。





お昼休みは、高校生は大正大奈路の三谷さんのお弁当。それでも足りない生徒たちは、大会のために出店していただいた松下商店さんのチキン、トコトコ屋さんのフォー、山間屋さんのスイーツ等々をほおばっていました。出店者の皆さん、ご協力ありがとうございました!



また会場近くの建物の中では、石積み甲子園に協賛してくださった企業さんのブースも出ており、多くの人の目に触れていました。



13:00から午後の部が開始。昼休みに作戦会議をしている高校もあり、さっそく実行に移している高校や、落ち着いて作業を進める高校などそれぞれでした。



雰囲気がガラッと変わったのは、残り時間が1時間を切ったあたりから。各校、既定の高さまで石を積み上げ、天端には土を押し固めて仕上げなければなりません。残り時間を計算しながら、みんな慌ただしく、それでいて統率のとれた動きをしていました。高校生が石と格闘する姿は、まさに甲子園さながら!彼らの一挙手一投足に胸を熱くした人も多くいたようです。
15:00ぴったりに作業ストップ。5名の審査員が、各校の石積みを審査しました。1位は満場一致で神山校、全ての審査項目においてハイレベルで、相当な練習を重ねて挑んだことが分かりました。女子2名が司令塔になり、統率が取れた動きが出来ていました。

2位は2校が選出され、まずは四万十高校。神山校との違いは、後半戦に大きく現れました。前半に面の良い石を使い、後半苦戦していたように感じました。しかし、となりの神山校と比べても遜色ない出来ばえで、短期間でよくぞここまで力をつけてきたと思います。生徒達の頑張りと先生方や畑さんの指導の賜物だと思います。大健闘、おめでとうございます!
そしてもう1校は、ディフェンディングチャンピオンの伊予農が選出されました。高い技術力が光っていました。私(執筆者)は、地元枠の審査員だったため、観戦に来ていた、いろんな方にインタビューして審査の参考にさせていただきましたが、伊予農を1位に推す声も数多くありました。
入賞は果たせませんでしたが、初参加の安芸高校にも、他校とは異なった石の積み方をしていて「地元のおっちゃん枠で1位をあげたい」という声がありました。また愛大付属にも「崩れないように基本に忠実だからこそ、面側(見えている部分)が犠牲になることもあるよね」「形が良くない石を上手に使っている」という声がありました。形の上で順位はつけていますが、どの石積みも大変美しく、その価値は変わらないと思います。

終わりに…
石積み甲子園を通して、各々たくさんの事を吸収し、忘れられない思い出ができたんじゃないかと思います。石積みに触れたことで、普段何気なく見ていた地域の棚田や段々畑、川沿いの昔ながらの景観に興味を持つきっかけになったり、この中から流域の自然や農村風景を守る「担い手」もひょっとして現れてくるかもしれません。石積み甲子園が生み出すこのような循環が、将来的に「景観の保全」「地域の活力」「世代間のつながり」を生む大きな可能性を感じました。

