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海岸清掃の意義を強く感じた講演

今回のテーマはプラスチックごみ問題で、高知県立大学名誉教授の一色健司先生がご講演されました。海のゴミの90%が河川から流出していると言われているので、私たち四万十川財団も川団体の責任を果たすべく、令和3年から海岸清掃を実施しています。活動を通して、海岸ゴミの現状を目の当たりにしていますが、講演をお聞きして、海岸清掃の意義を強く感じることになりました。以下その内容を少し紹介します。

管理されていないプラスチックの流出はアジアがトップ!

海に流出しているゴミの多くは、川から流れ出た管理されていないプラスチックごみで、その流出量は中国が1位で圧倒的に多く、東南アジア諸国が上位を占めます。先進国のプラスチックごみはかなりの部分適切に処分されていますが、絶対量が多いため、日本は世界ワースト30位というのが現実です。使えなくなった漁具や商船由来の意図的に捨てられたゴミも多いと推測されるとのこと。不適切な廃棄物をどうするかが課題になっています。

生物への影響

海洋プラスチックごみによる物理的な影響は、誤飲による摂食障害や、マイクロプラスチック(以下MP)による体内(循環系)への取り込みとそれに起因する機能障害等です。化学的な影響は、有害なPOPs(DDTやPCBなどの分解されにくく、プラスチックに吸着されやすい薬品)。これらは、食物連鎖で最終的に人にとりこまれます。実際に、人の排泄物からもMPが検出された事例があり、今後問題になるだろうと言われています。

PETボトルがMPになるのに400年以上かかる しかも「分解」されない

2次MPは、MPが紫外線でボロボロになり、さらに細かくなったものをいいます。条件により異なりますが、細かくなるのに、たばこの吸殻で2~10年、レジ袋で1~20年、PETボトルで400年、釣り糸で600年という途方もない年月がかかります。ここで留意しなくてはいけないのは、細かくなるだけで化学的に分解されて生態系の物質循環に組み込まれるわけではないということ。プラスチックは人間のスケールでいえば「なくならない」といってもいいのです。

中緯度に集まるプラスチックゴミ

プラスチックゴミは海流の関係で中緯度に集まっていることがわかっています。海洋プラスチックゴミを定量化するデータをとるためには、生物との分別を手作業でしなければならないので、なかなか推計が進まない現状だそうですが、今わかっている範囲で表層を漂流しているプラスチックごみは1%、あとはマリンスノーのように沈んでいき、海の底にあると言われています。

海岸に漂着しても9割が再流出 海岸清掃の意義

漂流ゴミのうち、海岸に漂着するのが5%。海流の関係で、特に日本周辺には中国や東南アジアから大量のゴミが集まってきます。海岸に漂着したゴミは、1年で9割が再流出します。この流出を防ぐことは効果が大きいです。「概算ですが、北太平洋の海面1㎢にあるMPは約100g、2LのPETボトルの質量は約70gなので、河川敷や海岸の2リットルPETボトル1本を回収するだけで、およそ1㎢分の汚染を防ぐことができることになる!!」外洋に出たゴミの回収はもはや不可能なので、海岸清掃の意義はここにあります。

詳しくは一色先生の講演を聞いてほしいのですが、なかなかその機会もないと思います。先生がお勧めの書籍を紹介してくれましたので、ご参考にどうぞ。この2冊を読めば、他に読まなくても良いほどの良書だということです。

1 中嶋亮太 海洋プラスチック汚染:「プラなし」博士、ごみを語る 岩波書店(2019)

2 磯部篤彦 海洋プラスチックごみ問題の真実 化学同人(2020)

ディスカッション 私たちはどう生活すれば良いのか

プラスチックごみが大問題なのはよくわかりましたが、では私たちはどう生活していけば良いのでしょうか?一色先生の講演では「①無駄な使用を減らす、②使用後は適正処理する、③処理から漏れたら回収する、④回収できなくても溶ける」という話をされていました。

ディスカッションでは、一色先生、土佐山田ショッピングセンターの石川靖社長、JA高知県女性部の中村千百合支部長、香美市こどもエコクラブの時久恵子さんが登壇されました。

・石油の原材料が安すぎるので使われている。これが大きな原因だ。

・スーパーではコストの問題が重要。トラックの積載効率を考えて容器包装が変化してきた。ポイント付与型の回収ボックス稼働率が高い。

・容器使い捨てプラスチックが多いので、それをどうするのか?

・普段の生活に必要のないプラスチックが見当たらない。

・プラスチックを捨てずに再度使う努力をする。

・子どもの清掃活動でPRしていくこと。

などが話題に上がりました。

便利で衛生的なプラスチックは現代の暮らしになくてはならない存在です。不法投棄を減らす努力をするとともに、不用意に出てしまうゴミを無くすこと、清掃活動に参加してみることができることではと思いました。

四万十川財団では、海岸清掃やカヌー清掃を実施し、参加者を募集しています。ぜひ、ご参加いただければとおもいます。1人が1つのゴミを拾うことに、大きな効果があるのです。

物部川フォーラムについて

物部川流域ふるさと交流推進協議会主催で、「第2回物部川フォーラム」を開催します。
物部川の現状や抱える問題について知っていただき、その解決のために何ができるかを皆さんと一緒に考えたいと思います。
香美市林業婦人部による鹿肉カレーのふるまいもありますので、ぜひご参加ください。

物部川流域ふるさと交流推進会議HPより https://keep-monobegawa.com/index.html

物部川流域ふるさと交流推進会議とは・・・

物部川流域ふるさと交流推進協議会は、物部川流域3市である南国市、香南市、香美市の交流を推進することにより、地域の機能や価値について相互理解し、調和ある発展を図ることを目的として発足しました。

各自治体をはじめ、協力・賛助企業である寄付者、流域の自然保護活動を行う助成団体で構成されており、物部川流域の保全に関するそれぞれの活動や資料について随時発信しています。

物部川流域ふるさと交流推進会議HPより https://keep-monobegawa.com/index.html