今回は、こんな身近なところにこんな志の高い企業が!という筆者(中平)の驚きとともにご紹介します。微生物の力で、土・水・生活環境を改善する資材の開発・販売まで手掛ける「有限会社Ueta LABO」さんです。

会長・上田善洋さんと社長・上田知毅さん

Ueta LABOさんの核となる技術が、独自に研究開発したGS菌(げんすけ菌)。GS菌は、自然界から乳酸菌など優秀な微生物を複数取り出し、混合した微生物群です。Ueta LABOさんは、このGS菌で海や川、池、養殖場、工場排水、田畑などの有機物を分解することで、多くの水質浄化や悪臭解消の実績をあげてきました。

四万十川は「日本最後の清流」と呼ばれています。流域に広がる田畑や森林、そして人々の暮らしが一体となって、ひとつの四万十川という生態系を形づくってきましたが、その現状は清流と呼べるものでしょうか。川魚の漁獲量、透明度、河床環境などに危機感を募らせる流域住民が多いことも事実です。

私達、流域住民が見つめ直すべき事や出来る事は何なのか、数々の環境改善の実績を上げてきた会長・上田善洋さんと社長・上田知毅さんに話を伺いました。

まずは「3年前から知見や技術を全投資して取り組んでいる」という稲作の話からどうぞ。

上田社長「いろいろな環境問題や気候変動がある中で、田んぼが物凄く解決策に貢献しているような気がします。温暖化という面では、田んぼは水を張るので、地表温度を下げる効果があります。それに、雨水を貯める機能もあります。地下水の涵養にもなりますし、豪雨の際は、鉄砲水の軽減にもなります。」

上田さんたちが取り組んでいるのは、農薬や化学肥料を使用しない有機稲作ですが、現在の慣行農法や化学肥料を否定する為の物ではありません。上田社長は「土や野菜を健康にしたり、生物多様性や循環によって結果的に無農薬にしていける」と言います。また、そのために石積みも大切にしていると言います。

上田社長「私たちは、田んぼの石積みも大事にしています。石積みは石積みのまま、崩れたところは修繕しながら使っています。石積みは、カエルやヘビ、クモやハチなどの昆虫類など、生き物の棲みかになります。そこで有機無農薬をすることで、ヤゴ、ドジョウ、アカハライモリなど水生生物が増えていきます。草や虫を食べてくれるイモリなんかは相当な役割を持っていると思います。イモリとは『井戸を守る』が名前の由来だそうですが、田んぼを守ってくれるから『タモリ』でも良いと思うくらいです。」

Ueta LABOさんの田圃が、米づくりだけでなく、生態系全体を見据えた取り組みである事がわかります。

上田社長「水生生物が増えることで、鳥類まで呼ぶことができます。米作りで生き物の循環が生まれ、食物連鎖や生物多様性も形成されますし、微生物の観点からみても、米を作る過程で土壌が還元状態(酸素が少ない状態)になったり、中干しで酸素が入ったりすることによって、バランスよく微生物が増えていきます。有機物が分解されてできるミネラルで、川や海を豊かにしているとも言えます。」

有機農業の課題は収量やコスト面ですが、上田社長の信念は、「(環境と経済の)両方を諦めない」ことだと言います。

上田社長「今、話したような事は、有機無農薬で取り組んでいるからこそ起きる循環です。農薬や化学肥料を使用しない代わりに、人間のメリット(お米の量)が少しになる傾向がありますが、私達は、GS菌を活用する事で収量も確保できて、生態系も壊さない、その両方を諦めない農業を模索しています。ですので、これまで40年以上続けてきた微生物や土づくりの研究から得た知見、技術を全投資して、今は田んぼに取り組んでいます。」

Ueta LABOの企業理念は「Save the Earth」です。上のお話からもその情熱と気概が伝わってくるのではないでしょうか。それは、創業会長の父、善洋さんから受け継いだものでもあります。須崎市の野見湾に生まれ育った善洋さんは、平成元年、Ueta LABOの前身となる「上田微生物研究所」を設立しました。養殖で汚れていく須崎の海を憂い、「ふるさとの海をキレイにしたい」との想いからだったといいます。

40年以上地道な環境改善に取り組んできた上田会長に、私達が日常レベルでできる事について教えていただきました。
会長「圃場から流れ出た除草剤や殺虫剤で、川の藻類もやられてしまいます。家庭からは、合併浄化槽に含まれる塩素や、洗剤に含まれる界面活性剤などが川に入っていきます。そういった環境問題をみんなに説明して、全部をすぐに変えていく事は、なかなか難しいんです。でも、どうにかして“川をちょっとでも綺麗にしたい”。そういった思いで、これなら簡単に使ってもらえると考えて開発したのが、『お洗濯酵素』です。」

HPより

においの原因菌類を殺すのではなく、他の菌と共存させてにおいを抑える、という発想です。この「お洗濯酵素」は四万十川財団でも愛用しています。衣類の洗濯はもちろん、魚の匂いがついたクーラーボックスに吹きかけてみたり、魚を飼っている水槽に投入してみたり、ペットの匂い対策にも愛用させてもらっています。とても効果が高くお薦めです!こうした商品を使う事で、排水が川や海を汚さないという「大きなおまけ」がついてきます。Ueta LABOさんにとっては、そちらが本来の目的になりますが…。

このお話を聞く少し前に、スーパーに展示させてもらっている「まちなか水族館」の水槽がすぐに汚れてしまうのでどうしたものか考えあぐねていました。試しにこの「お洗濯酵素」をドバドバと投入してみたところ見事に水質が改善され、その効果にスタッフ一同驚きました!GS菌の力を目の当たりにした一コマでした。

さらに水槽の汚れについて相談させてもらったところ「絶大な効果が出た」という商品も教えていただきました。

会長「もともと合併浄化槽で使用していたGS菌資材がありました。これをメダカ業者が水槽で使用してみたところ絶大な効果が出て、『ウォータークリーン』という商品になりました。微生物がガラスの表面やプラスチックの窪みにも入り込み、分解していくので、ホースで水圧をかけて流すだけでも汚れが落ちて、『掃除がしやすくなった』とか、『汚れがつかなくなった』と評判になり、全国的に売れています。」

四万十リバーマスターの豊田庄二さんもUeta LABOさんの資材の愛用者です。

豊田庄二さん

農薬や化学肥料に疑問を持ち、昭和50年代から自然農法に取り組んでいます。数年前からUeta LABOさんの資材をいろいろ使わせてもらっていますが、自然由来なので安心安全ですし、作物の味や日持ちも変わってきます。

福岡県宗像市の離島 で行われた「島まるごと実証実験プロジェクト」の事例を紹介しながら、市町村単位で環境改善に取り組む重要性についても教えていただきました。

上田社長「福岡県の地島(じのしま)の島民が合成洗剤から『シャボン玉石鹸』に変えたら海が蘇ったという事例があるんですよ。そうやって市町村単位でもいいので、成功事例を作ってしまえば、それが大きな魅力になると思うんですよね。それと併せて環境に配慮している農家さんを補助するとか、そういう風に上手に誘導していけば、慣行農法から有機農法へ切り替わっていくと思いますし、その結果として海や川が良くなって漁獲量も上がれば、結局、行政としても得られるメリットの方が大きいのではないかと思います。」

中平:環境にも良くて、効果がはっきり分かったとしても、全ての人が、それまでの習慣を変えていく事は難しいものです。私達が気づきを得て、変わっていくためにはどうしたらよいでしょうか。そのヒントを教えてください。

上田社長「自然で遊ぶことです。そこから入った方が早いと思います。釣り、山登り、キャンプ、サーフィン、川下り、木工、焚き火…、こういったイベント事に参加する人は、その自然に興味を持っている人がほとんどなんですね。だけどなかなか生態系全体のことを考えて遊んでいる人は少ないんですよ。でもそれは知らないだけで、伝え続けていくことで、中には行動に移してくれる人が出てくると思います。自分が遊んでいたフィールドをやっぱり守りたい、次の世代に残したいっていう思いが生まれてくると、変わってくるんじゃないかなと思います。」

取材を終えて…

Ueta LABOさんの取り組みは、微生物の力を起点に、土・水・生活環境を一体として捉え直すものでした。農業における土づくりから、川や海へとつながる水の循環、そして日常の洗濯に至るまで、その視点は常に「見えない生態系の働き」に向けられています。

四万十川流域においても、川の清らかさは単独で存在するものではなく、森林や田畑、そして人の暮らしが織りなす循環の上に成り立っています。流域全体をひとつの生態系として捉え直すことの重要性を、あらためて考えさせられる取材となりました。

上田社長

 FM高知の「Hi-Six Shake! Shake! Shake!」という番組内で「UetaLaboの土づくり栽培研究」のコーナーを毎月第2金曜日10時15分から放送しています。是非ご視聴ください!

ご自宅の鶏舎もGS菌で悪臭なし

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