四万十川財団旧HP上にあった「四万十まるごと博物館」内の掲示板に保存されていた梼原町越知面地区の聞き書きです。聞き書きをした正確な日時も場所も、話者も分からない、いわば不完全なデータですが、それでもここから分かる事もあると考え、アップすることにしました。

詳細は分かりませんが、2001年の2月15日にデータが上げられているので、それからそう遠くない過去に聞き書き作業をしたものと思われます。また、文面等については、手を加えずそのまま転写を旨としました。分類についても当時のものに従っています。( [  ]で示される番号は掲示板の整理番号です。 )

聞き書き 梼原町越知面

自然に関するもの  
[606]昭和30年前まで水がユタユタと流れ水がきれいだった。子供に話しても通じないのが残念。
[595]無農薬野菜、有機栽培などをして環境保全に努める、水を守る。
[575]川口神社には樹齢400年の夫婦杉がある。傘をさして通。直径が2mある。
[565]魚が少なくなったので年に何回か放流をしている。3月1日から9月30日まではあめごの解禁で釣り客が多い。昔はついて魚を捕っていた。今はしてはいけない。
[563]美しい自然を残し続けたい 中越あきらさん
[562]合成洗剤を使うため川が汚くなりゴス(赤い魚)ちちこ(ごり)もつごなどがいなくなった。洗剤の規制をする。第一番はかわをきれいにする事。
[543]カルスト(風車)ができて観光客ができた、観光客が年々増えた。天狗荘は結構良い。愛媛の姫鶴も良い

動植物に関するもの
[611]植林が大きくなったからもうじきにヒヒのたぬきが出てくる(古狸のこと) 昔はヒヒのたぬきに化かされて山を一晩中歩いた話があった。
[600]猿のまき 婦人病に効く 猿を捕ったらワラで巻いて乾燥さす。それを煎じて飲む。
[541]たぬきの油がけがに効く。風邪に効く
[530]農業は米なす・小なす・しいたけ・米が盛んである。キジを飼っている。ふる里市にも出している。雲の上ホテルではキジ鍋・キジ飯がある。
[529]松の油 気管支炎に良い 効く効かんは体質による
[528]まむしの皮 破傷風に効く、皮を傷口に巻く 身は乾燥させて粉末にし飲む。精力剤になる。はめ焼酎(まむし)は健康食品である。
[527]いのししの油 切り傷、擦り傷、ひび、あかぎれ(油を傷口において焼き火箸をにせ油をとかす)たぬきの油もいい
[526]ヨモギ 血止めになる(もんでつかう)切り傷に葉をおって貼る(まじないをしながら)
[525]腹の痛いとき 梅干しを黒焼きして食べる 熱が出たら雪の下を塩でもんでその汁を飲む。
[524]腫れ物・毒素の吸い出しにオオバコをもんで貼る。(ウミの吸い出し)ドクダミをフキの葉に包み灰の中へいれほうやく(ねばりがでる)にして貼る。
[523]きはだ(皮をはいで乾燥させて)肝臓・胃潰瘍に効く いしゃころし(むらさきの花)50gをきれいに洗って乾燥させて焼酎5合に漬ける。古いほどいい。
[522]・ドクダミ 何でも効く 十薬という ・うこん 肝臓 ・びわの葉をしいて大きなもぐさをすえると(熱くなったら位置をかえて)痛みがとまる。
[521]センブリは山崩れの後にできる。林道の斜面などにできる。但し、日光があたること
[520]ドクダミの花を(2.3本)トイレにさしておくと消臭剤になる。
[519]ねぶか(ネギのこと)に塩をつけて傷がうずいたときにつけて治した。
[518]やけどには味噌をつける。ムカデに茶をかける
[517]ひょうたん木 ひょうたんのような形をした実がなる。
[516]キハダの木 肝臓・胃の薬 木の皮を干して煎じる
[515]タヌキの油(塩につける、保存のため) 化膿止め・傷に効く・ひきはじめの風邪に良い
[514]ドクダミとイチョウの葉を乾燥させて煎じて飲む。花粉症に効くらしい
[513]ドクダミは十薬という。10の病気に効くからいう
[512]センブリ お腹の痛いときに効く 千回煎じても苦みがのかないから「センブリ」という
[511]ズイキ 産後に良い

神社等に関するもの
[602]ごりんさま 5つ石が重なった。
[593]神社(神楽)仏閣(20日念仏)を粗末にしないよう伝えていきたいしこれからも続けて欲しい。
[577]11月3日祭があり三嶋・河内神社では津野山神楽をやる。
[561]天神様がある。当番(7名)で1年間回している。
[560]神社の二十日念仏は8月20日大人だけ参加 神祭は11月3日に統一、昔は別だった。
[557]親子観音 昔、姥捨て山だったところに昔の人に対しての罪滅ぼしの為に昭和10年頃にお地蔵さんを建てた所に婦人会が親子観音を建立した。それまでは事故が多かった。名前はその当時の町長が付けた。

地域の風習に関すること  
[610]節分にはイワシと炭とひいらぎをつるす。あしをだす
あしのだしかたは0・2・10・3(おにとうさん)あしをだす意味は鬼がやってきてあしえおかぞえて数がわからなくなりこれを繰り返している間に夜が明けて鬼が帰る。
[609]さんばいさま 田植えの風習 田んぼの畦にまつる。まつるものは米、じゃこ、又はお頭、つるし柿その他に栗の葉柿の葉、うつげの花 意味は米を作らせて下さい(豊年満作)田植えのとき飾った前にくると腰を立てて拝む(長い間同じ姿勢をしていると疲れるから)お供え物はおやつ代わりに食べる。
[608]宝来様(正月の行事)おおみそかに米を1升入れる(一生お願いしますという意味)鏡餅を置いてかぶを置く(子供が絶えないように)その他にマキの木、南天、ゆずり葉、松竹梅をあわせて飾る。正月の朝に床の間から大黒柱まで持ってきて拝む。そのあと雑煮にして食べる。宝来様の横にお年玉を置く。
[601]お手伝いしに行くときもキビや米を持っていった。(自分の食事分は自分で用意する)
[553]8月20日二十日念仏 「へんなもみどうばい」(南無阿弥陀仏の事)と抑揚(イントネーション)を変えて繰り返し唱える。
[552]8月20日は善福寺で念仏供養 二十日念仏 
[551]山の神祭り 山仕事は休み
[550]お盆の日川にしめ縄を張り、なす、きゅうりを吊す。なすで馬を作る
[549]夏には虫送りを夜した。たいまつを焚き、川沿いを歩いた
[548]お松様むかえ 12月13日 松の木を切って門松を作る
[547]十二月十二と書いて反対に貼っておくと(家の入り口付近)泥棒が入らない
[546]山のくちあけ(山仕事の始め)正月4日、山の神様に無事をお願いする。山の神様にお供えを持って行く。
[545]お正月の儀式 若水取り 朝一番の水を汲む 若水を迎える場所は決まっている。宝来の盆にカブ・大根・松竹梅を飾りお米・干し柿・もち(家族の数だけ)を神様にお供えする。お米は七草粥におもちはお雑煮にして食べる。宝来盆にお年玉を入れて孫にもお祈りをさせる。

地域芸能に関するもの   :
[576]檮原高校には神楽のクラブがあり、年一回発表がある。
[574]青年団が神楽の全国大会で優勝したことがある。
[544]樋口さんちの3歳の子供は神楽が上手。それを見に来る人が多い。神楽は11月4日に奉納される。

食文化等に関するもの  
[605]ヨモギもち ヨモギを栽培していた。
[604]ズイキ 産後に良い ズイキのおじやを産後にはじめて食べた。
[603]キビメシ キビを石臼で米状にする。昔はキビが9,米1の割合 今はキビ1,米9
[592]キビ飯 香ばしい
[542]ウドは味噌和え 蕗、ぜんまいは自然に生える物
[540]いりもちがおやつ
[539]麦、きびが主食 菜っぱでおじやを作って食べた。 じゃがいも、からいも、いも類を作った。田んぼをもてる人が少なく米はあまりなかった。だから、子供の頃はさほど遊んでいない。米は正月や祭日、神祭の時ぐらい。
[538]小なすのたたき なすを揚げる タレは醤油1,酢1,砂糖70g、ニンニクはつぶして入れる、ごま油少々、ねぎ、みょうが、せいそうを入れる
[537]ぜんまいの料理 ゆがいて水にさらす(苦みをとる)油炒め、炊き込みご飯
[536]ぜんまい 天日干しで乾燥する
[535]あめごは甘露煮、塩焼きにして食べる
[534]正月・神祭・エビス様には白米を食べていた。米飯(こめめし)といって食べた。
[533]食べ物を大切にする。3年味噌は食べられん。米は古米から食べる。いつ何事があっても困らない様に
[532]白米は病気にならないとなかなか食べれなかった。白米食べたさに仮病になったことがある。きび・麦飯で病気知らずだった。
[531]東山(さつまいも)を作ったゆで汁を煮詰めて飴状にし煎った大豆をいれお菓子を作った。

農業・林業に関すること
[571]小作料として10俵できたら2.5俵を地主に納める。
[570]農地を荒らして欲しくない。今の人も続けて欲しい。
[569]木材で建てているから建て替えの必要がない。100年ぐらいの家がある。杉・桧で作ったらいい。
[568]中越みゆきさん(大正5年生85歳)無農薬で米を作っている。
[567]山を緑にしようと町が緑化推進協議会を作り山へ植林をして杉を植えたため水の保水力がなくなり川に魚が住めなくなった。
[566]永野地区は昔、炭焼きで生計を立てている人が多かった。又、みつまたも栽培していた(紙幣の原料)

特異な技術を持った人々に関すること(名人芸など)
[572]二十日念仏の名人 岩本とおるさん 3代目
[558]吉門 清行さん 牛鬼を作る事が出来る。修理もする。かごでもそうけでも竹細工はよく作る。
[556]わら草履作り名人 中越 甫さん 中学生の頃から作っていた。井の谷から学校迄4kmあるので替えのわらじは自分で作った。
[555]石垣を作る名人 中越 きよまさん 現在80歳位
[554]岩本源一さん72歳 かやぶき屋根をふく名人 

その他
[607]門松の残りはみつまたを燃やす燃料にした。切った木は全部使う。
[599]越知面は7部落(205戸)
[598]親から譲り受けて30年、息子に譲る迄また30年、我が代も30年。
[597]昭和ひとけたはちょっとやそっとではへこたれない。
[596]昭和30年代にはいろんな物が入ってきた。檮原へ電気がついたのは昭和9年頃、ラジオは17年頃である。
[594]越知面老人クラブ165名 月1回唄ったり踊ったりゲームをしたりする。
[591]老齢化してきて耕地の保全をしていかないと子孫の時代には食料がなくなる。
[590]子供に昔の話をすると嫌がられる。
[589]合併槽にしたら汚い水が川へ流れていかなくなった。
[588]かやぶきの里 町が集落としておいていた(町の文化財)町の補助があったが今はうち切られているため瓦屋根になってきた。
[587]かやぶき屋根を葺くかやがない(植林しているため)又、後継者もいない。
[586]かやぶき屋根は夏は涼しく冬は暖かい。次の世代になったら屋根を葺ける人がいなくなるだろう。
[585]かやぶき屋根は20年から30年で取り替える。部落の人が協力しあって各家いいをする。(助け合う事)
[584]檮原の人情を後世にまで残して行きたい 久原さん
[583]伝えたいがつぐ人がいない
[582]仕事が元気に出来るということが幸せ。少しでも収入がある仕事をしている事が幸せ
[581]遠くから嫁に来たのだが田舎へ来て良かったと思うような雰囲気があった。だんだんそういう気分が薄くなってきたので残念。あいさつの日などいらない。あいさつは常識
[580]検診をしてくれるので安心している。ずっと続けて欲しい
[579]雲の上の町の名にふさわしい町づくり。特にゴの問題が課題
[578]賃金は1時間601円が最低賃金である。私は畑625円田750円である。土方にまける。
[573]善福寺の近くに大杉(通称千年杉)があり保育園が出来た時子供達がすくすくと育つようにすぎのこ保育園と名付けた。現在は越知面幼稚園という。
[564]婦人クラブの集まりは血圧を測ったり踊ったりする。エプロン会は年2.3回弁当を作ってくれる。越知面小学生と食事を年2回学校のランチルームでする。若い人達と交流がない。
[559]12月12日は神官をやとって沖田一族(9名)の先祖の祭をやっているので伝えて行きたい。神官は前町長