文景協で四万十市下田にて文化的景観の現地研修会を行いました。

四万十川流域では、流域5市町(津野町・梼原町・中土佐町・四万十町・四万十市)の教育委員会と高知県文化財課、それに私たち四万十川財団が一緒になって「四万十川流域文化的景観連絡協議会(長いので普段は「文景協」といいます)」という会を作り、情報共有や文化的景観を活かした連携事業を行っています。平成25年からの3年間は全国の大学から学生、大学院生を招いて流域の景観を学び、活かし方を考える『四万十川流域学生キャンプ』を行いました。さらにその経験から自分たち自身がもっと地元の景観について理解を深めておく必要があることに気づき、平成最後の2年間は各市町が順番で幹事となり、足下の景観を知るための現地研修を行いました。それが一周りしたので、今年度は景観をどう活用していくかを課題に研修を続けています。

文化的景観の活用を考える研修会、記念すべき第一回目に選んだのは、四万十市の下田です。

前回の学習会では集落を中心に巡りましたが、今回は竹島川(四万十川の第一支流)干潟での生物観察からスタート,案内役は四万十市教育委員会生涯学習課の辻さん(写真中麦わらのひと)です。

高知の川は四国山地から太平洋に直行するのがデフォルトで、山がそのまま海に入り込んでしまうような地形のため、干潟はあまり発達しません。

県内には四万十川だけでなく、仁淀川、物部川、鏡川、新荘川、安田川、夜須川・・・上げていけばきりがないほど美しい川が多く、「土佐は川の国」と言えますが、その中でも四万十川が「日本最後の清流」として有名になった理由は、生物相の豊かさと人と川の近しさにありました。その辺りについてはまたいずれ書きますが、その豊かな生態系を支えているのが、広い干潮域と高知では珍しい干潟なのです。

ここ、竹島川の干潟では、絶滅危惧種のトビハゼやシオマネキが観察できます。また、アカメの稚魚などもそこで育つコアマモも見ることが出来ます。

景観の活用検討の研修会でなぜ生物観察?と思われる方もおられるかもしれません。ご説明しましょう。

文化的景観は、人が暮らしていくために自然環境にはたらきかけた結果そうなった景観なので、もともと自然環境と密接な関わりがあります。特に四万十川の場合、ここにある生態系を利用して生業(漁労)を成り立たせているので、自然の仕組みを知ることと、景観を理解することが直結します。

その好例が、イシグロでしょう。干潮域という潮の満ち引きの影響がある場の特性を活かしながら、ものの隙間に潜り込むうなぎの習性を利用してつかまえる。自然の仕組みと獲物の習性を知っているからこその漁法と言えます。

これがイシグロ。ペットボトルは目印ですが、流出の可能性もあるのでやめたい習慣です。

干潟と戯れた後は鍋島にあるアオサの種苗育成の様子を見に行きました。

下田や対岸の八束では、干潟の干満差を利用してアオサノリの養殖が盛んです。アオサは他の海草類にくらべ乾燥に強いので、干上って他の海草が育ちにくい環境で育てることでアオサだけを生長させることが出来ます。ここはその種苗センターで、四万十川下流漁協が管理しています。

実はノリの専門家である辻さんが事細かにアオサの生態について説明してくれましたが、メモしきれませんでした。後日資料をもらって補足しますね。

最後に、対岸の山路に渡って、イシグロ漁の様子を見学しました。イシグロ漁は、干潮域の浅場を掘ってそこに拳から人の頭大の石を積み上げ、そこに入り込んだウナギをウバシで掴むだけのごくごく原始的な漁です。出水するとイシグロ自体が流されてしまうので環境に変な負荷がかかることもありません。その意味では自然の仕組みを利用しながら生業を成り立たせてきた四万十川らしい漁法といえるかもしれません。

さて、現地研修を終えて今回の学びからどんな活用を考えるか、次回文景協までの宿題です。みなさんならどう利用して何をしますか?

追伸:干潟からあがったところで研修にご協力いただいた下田マリーナのおかあさんからつめた~く冷えたスイカを差し入れてもらいました。干潟でからからになった喉を美味しく潤してもらいました。 ごちそうさまでした。