神戸市で行われたブルーカーボンのシンポジウムに参加してきました。神戸市では環境対策として、ブルーカーボンの取り組みを推進しているそうです。ブルーカーボンとは、海が貯留する二酸化炭素のことを言い、マングローブや海草、海藻、湿地などの植物が二酸化炭素を貯留する効果に着目したものです。

二酸化炭素を吸収し貯留するといえば、森林(グリーンカーボン)が思い浮かびますが、現在生えている木々は成長しきっているものが多く、これ以上二酸化炭素を貯めておくことができないため、森林が貯留する効果は今後減少していくことが予想されているそうです。そこで今期待されているのが、ブルーカーボンというわけですね。



今回のシンポジウムでは、ブルーカーボンとあわせて淡水カーボンについても研究発表があり、湖や池など止水域での調査研究結果が発表されました。そのなかで、止水域の合計面積は沿岸域(ブルーカーボンの)よりも広いため、ブルーカーボンの約2倍の貯留量が見込まれるそうです。植物プランクトンやアマモも二酸化炭素を吸収する役割があり、水草が増えることは生態系の多様化にもつながるため、これらを増やしていく取り組みも進めているとのことでした。一方で、植物はメタン(温室効果ガス)を発生させてしまう面もあるため、そこの相殺を考えたうえで効果を検証していく必要があるとの指摘もありました。また兵庫県は全国的に見てもため池が多い地域だそうですが、老朽化も進み、豪雨災害等でため池の決壊が起こるなどもあり、ため池の撤去が起こっているそうです。しかし、ため池は生き物の住処になっている他、防火用水としても活用できるなど多面的な機能があるため、ため池の保全にグリーンカーボンが役立てられないかとの意見も出ていました。
水生植物による二酸化炭素の吸収に着目したブルーカーボンは、一見森林に変わる新たな二酸化炭素削減の革新的な対策に思えますが、いい面だけでなく課題もあるということがわかりました。また、川などの流水域での調査・研究は測定が難しく進んおらず、川におけるブルーカーボンの効果はまだわからないとのことだったので、今後研究が進んでいくことを期待したいと思います。