真夏のお休み期間と先月の雨天中止も重なり、久しぶりの海岸清掃を平野海岸で開催しました。期間が空いてしまいましたが、たくさんの方(11名)にご参加いただき大変感謝しております。

最初は少し寒かったですが、ゴミを拾っているうちにだんだん体がポカポカしてきて、上着を脱ぎ始める方もいました。皆さん、それぞれのペースで気持ちよくゴミ拾いを進めてくださっていました。

今回は生物多様性アカデミーの亀山豊さんが来てくださり、海洋ゴミについて楽しく学ぶワークショップを開催しました。ゴミ拾いと並行して、実験に使うプラごみのサンプリングも行いました。25㎝の正方形の枠内の深さ10cmまでに存在するプラごみをふるいにかけて、5㎜以下と5㎜以上のものに採取・分類しました。

海岸清掃終了後に、平野地区の集会所に移動して、採取したプラごみで比重実験を行いました。

一括りにプラスチックといっても、たくさんの種類があり、性質もそれぞれ。まずは判定済みのプラスチックを比重の異なる4種類(エタノール、水、海水、飽和食塩水)の溶液に浸し、「浮かぶ、沈む、中間で止まる」のどれになるか観察しました。次に海岸で採取したプラごみの中からひとつ選んで、それを4分割して溶液に浮かべ、同様に「浮かぶ、沈む、中間で止まる」のどれになるか観察し、その結果がどのプラスチックと適合するかで、材質を推定していきました。

皆さん、楽しみながらもとても真剣に取り組まれている様子が印象的でした。上の写真には高知市内から親子で参加された方、いつも快く参加してくださる常連さん、集会所を貸して下さった区長さんが写っています。

亀山さんの分析:海岸清掃の効果あり!?さらに進めていくためには…

さてさて後日、亀山さんより、詳しい分析データが送られてきました。

亀山さんによる解説の要点は以下の通りです。

  1. プラ片の観察:
    採取されたプラスチック片は比較的大きなサイズが多く、細かいプラ片は風で内陸に運ばれている可能性がある(仮説)。重量も少な目。
  2. 清掃活動の意義:
    毎月の清掃活動は、微細化する前の大きなプラ片を回収しており、一定の意義がありそう。
  3. 調査方法の改善:
    プラ片がパッチ状に広がっているため、広範囲を調査すると平米あたりの重量が小さくなる。より精密な調査方法を導入することで、砂浜のプラ片量を正確に推定できると考えられる。
  4. プラスチックの循環:
    プラ片は陸から川を経て海に漂い、細かくなると風に乗って再び陸に戻るという循環がある。これを断ち切るためには、紫外線で細かくなる前に大きなプラごみを拾うことが重要。
  5. マクロ視点とミクロ視点の違い:
    小規模での回収活動は有効だが、最終的には「プラスチックの絶対量を減らす」ことが重要。アップサイクルや回収方法の効果を評価する際、視点をミクロからマクロに切り替える必要がある。
  6. 未来に向けて
    我が国では、「ひとりひとり、できることから」と啓発されてきたが、そろそろ「できること」の「質」(どこに力を注げば一番効果的か?)についても、次世代に議論してもらいたい。
プラスチックごみ:手前の袋入りがが5mm以上、奥の瓶入りは5mm以下

今回のプラごみ実験で、紫外線による劣化で細かくなる前に回収していく事など、海岸清掃の新たな意義を発見する事ができました。亀山さんが指摘してくださった「陸→川→海→砂浜→紫外線によるMPs化→再び陸へ」というプラ片の循環については、多くの方に知っていただきたい事実だと感じました。こうした事をまずは知ることが大きな変化に繋がっていくのではないでしょうか。

また、現在平野の海岸にパッチ状に広がっている細かなプラごみの経過観察も続けてみたいと思います。そうした活動を続けながら、いつも参加してくださる方々と現状を把握しながら、最終的には「プラスチックの絶対量を減らす」という機運に繋げていけたらなと感じています。

亀山さん、ありがとうございました!

ゴミの重量と次回の海岸清掃

後日、集めたゴミは処分場に運搬しました。今回も2t車いっぱいになり、重量は180kgでした。今年もたくさんのご協力をありがとうございました!12月はお休みで、次は来年1月31日になります。みなさまよろしくお願いします!