森 健介(もり けんすけ)

森 健介さんの基本情報
・四万十市 入田出身
・昭和25年生まれ
・四万十川中央漁協
・大人塾講師 コロバシ漁
森さんってどんな人?
「もりけん」さんの愛称で親しまれている川漁の名人。素敵なお人柄でファンも多い。今年から四万十リバーマスターに加わっていただき、大人塾ではコロバシ漁の講師をお願いしている。漁も名人だが運動神経も抜群で、若いころは市町村対抗駅伝の四万十市代表で走ったり、成年男子1部リーグのソフトボールチームの1番ショートで「わしの所に飛んできたら絶対アウトやったけん」と豪語する程活躍したそうだ。頼もしいですね!
もりけんさんのコロバシはよく入ると評判

もりけんさんのコロバシはよくウナギが入ると評判だ。その秘密を聞いてみた。まずは樹種。「『コウカ』が一番ええ、あれは腐らんけん。次にスギの『黒心』。これも腐りにくい。マツの身(み)の部分でもかまん。」作ったコロバシは、まずは1年間水に浸し、馴染ませる。オフシーズンも水に浸けて保管する。だから、水に強い樹種でなくてはならない。木材には心材と辺材の部分があり、辺材の部分は、水に濡れると非常に腐りやすい。なので心材の部分を使う必要がある。
同じ針葉樹の心材でも、ヒノキよりスギやマツの方が腐りにくい。もりけんさんによると「コウカ」が一番良いそうだ。「コウカ」は「ネブタ」とも言うと教わった。はじめ、何の木なのか分からなかったが、後から「ネムノキ」だと判明した。ちなみに「コウカ」の由来は、ネムノキを漢名で「合歓」と書く音読みが変化したものと言われている。古典にも出てくる雅びな言葉だ。高知には、時々こういった古語が残っていたりする。

驚いたのは、もりけんさんのコロバシの秘密だ。作ったばかりのコロバシに「生きたミミズをぬりたくる」。そして、4月から6月までの間は、細い針金に刺したミミズを餌に使うとのこと。ミミズから出た「生きた汁」の匂いにウナギが寄ってくるらしい。7月以降は、水温が高くなって串刺しミミズは死んで腐ってしまう。腐った匂いがコロバシについたら、逆によく洗わなければならないという。ミミズの匂いなら何でもよいというわけではない。7月以降は、ミミズがすぐ死なないように「エサ入れ」で活かした方が良いそうだ。エサ入れにも独自の工夫がなされている。ゴルフクラブプロテクターにペットボトルのキャップをはめたものだ。現在では、知られているアイディアだが、もりけんさんが発案したそうだ。
秘訣がもう一つ。「ウナギは穴がこまい(小さい)ほどよく入る」。
コロバシにウナギが入ってくる部分を「コジタ」という。コジタに使う材料は、硬すぎても軟らかすぎてもいけない。ちょうどいい材料が市販の竿ケースで、プラスチックの厚みや硬さが絶妙なのだそうだ。それを切って使う。身の回りにあるものを上手に活かすのが森健流のコロバシだ。
もりけんさんは、70本ものコロバシを「宵に入れて朝あげる」を毎日繰り返す。多い時は一晩で3~4kgものウナギが獲れる。チャンスは「雨上がりで濁った時」だそうだ。


テナガエビ漁もコロバシでやる。それにも独自の工夫が施されていて面白い。コジタは溶接して綺麗に接着している。それから、上の写真のように通常のコジタ(入口)に加え、箱の中にもうひとつ入口を設置している。こうすると「エビが絶対逃げられない」そうだ。手が込んでいるので、1日に5つしか作る事ができない。エサはドッグフードを使う。毎回1500グラムくらいは獲れるそうだ。これからナガセ(梅雨)に入り「ナガセエビ」といって、一番獲れる時期になるという。大きな「ヤンチャエビ」も獲れるそうだ。獲れたエビやウナギは地元の飲食業店が喜んで買い取ってくれる。


大きな手術をする前は投網もしていて、増水時には具同に繋いである舟で黒尊川や目黒川まで遡り、支流と本流の合流部の、水が澄んだ場所にたまるアユを獲ったそうだ。遡る途中で沈下橋を何本かくぐる事になるが、三里沈下橋が一番低くてくぐれないことがあって、観光客にロープを渡して持ってもらい、船外機を外して、なんとか舟をくぐらせたこともあったそうだ。その時は、1日で40kg以上獲れ、地元飲食店が1㎏4000円で買い取ってくれて、一緒に行った友人と山分けした話を嬉しそうに話してくれた。当時は投網を50丈も所有していたが、今は2丈を残してあとは二束三文で処分したそうだ。それには理由があるのだが、またの機会に…。
不遇も病気も乗り越え、いつも明るくユーモア溢れるもりけんさん。ご自宅には、よく手入れされた菜園やいろいろな場所に設置されたミツバチの養蜂巣箱があって、川漁以外でも充実した日々を送られていることが垣間見えました。今後もみんなから頼られ愛されていく事でしょう。四万十川財団のこともよろしくお願いしますね!
