四万十川流域文化的景観連絡協議会(流域5市町と県の文化財担当部局でつくる組織。四万十川財団はその事務局をしています。長いので通称「文景協」)では、今年度から情報発信事業を進めています。四万十川に関する知識や文化を集め、効果的に発信していく仕組みを考えていくことを目指す取り組みですが、その一環として、先日、四万十川流域で観光事業に携わっている方々を集めた「四万十川流域おもてなし交流会」が開かれました。
コロナ流行から4年、ようやくかつての日常が戻り、観光面でも今後国内外からの観光客が戻ってくることが予想されるなか、今一度四万十川の観光振興を流域全体で考えていく必要があります。でもよくよく考えてみると、流域にどんな事業者がいてどんなことをやっているのか、お互いがお互いをあまり知らない、横の繋がりが意外と少ないという状況が見えてきました。そこで、流域の観光業者を一堂に会し、それぞれに情報交換・意見交換をすることで流域の観光をより深めていこう、ということでこの交流会が企画されました。
流域5市町から農家民宿やカヌー業者、イベント企画者、行政担当者など、さまざまな立場から観光に関わる方に集まっていただきました。会をコーディネートするのは、情報発信事業でお世話になっているNOP法人九州コミュニティ研究所です。
5つのグループに分かれて意見交換を行いますが、まずはアイスブレイクで、名前、職業、四万十川との関わりについて自己紹介。わたしが参加したグループのメンバーは、役場の教育委員会、カヌー業者、森林アクティビティ業者の方で、活動地域も津野町、四万十町、四万十市とバラバラ。普段であればまず交わることのないであろうメンバーでした。
自己紹介につづいて、四万十市教育委員会の川村さんから文化的景観についての説明。ほとんどの参加者が流域住民ですが、文化的景観のこと、四万十川流域が重要文化的景観に選定されていることを知らない、または意識していない方も多くいらっしゃいます。文化的景観とはなにか、普段の暮らしの中に当たり前に広がっている景観にはどんな意味があって、何が大切なのかをわかりやすく説明されていましたと思います。文化的景観の視点も取り入れながら、流域の観光をより進化させていければいいですね。
さて、講義のあとはいよいよ本題に。まずはそれぞれが思う四万十川でこれからも守りたい・広げていきたい活動や取り組みについて意見交換を行います。仕事や住んでいる地域など、バックボーンが全員違うので、それぞれの視点で考える 守りたい、広げたい もの、こと、がたくさん出ましたが、四万十川の景色を守りたい、文化を伝える人を守りたいといった意見が目立って多くありました。他のグループでも、流域を通した観光を広げたい、四万十川を知り伝えていきたいなど、さまざまな意見が出ていました。次の作業では、先ほど考えたことを守っていく、拡げていくために、今何が足りないのか、どんなことを用意していく必要があるのかを考え共有しました。ゴミを拾って景観を維持していきたい、後継者を育てていく必要があるなどの意見が見られ、今後どういうことを流域で考えていかなければいけないのかを整理することができたと思います。
今回のワークで、流域のいろんな事業者と交流することで、新たな四万十川流域の魅力に気づいたり、新たな観光の可能性について考えることができたのではないかと思います。参加者からもほかの地域の事業者と交流する機会はないので、どんどんこんな機会を増やしていってほしいという声もいただきました。来年度も引き続き実施していく予定なので、またこの交流会を通して、四万十川流域の観光を盛り上げていってほしいですね。参加者の皆さん、お疲れさまでした!