梼原町で親子川遊びイベントを開催しました。7月25日の四万十川の日(7月25日に、渡川から四万十川に正式に名称が変わったことから高知県が制定)にちなんで、毎年その近辺の日曜日に、親子で川遊びをしながら四万十川について知ってもらおうと開催しているこのイベント。梼原町での開催は今回が初めてです。梼原町は四万十川の源流域にあたり、豊かな森林に囲まれた緑あふれる町です。そんな山深い川の源流域で、海の生き物に触れてもらうことで、川の連続性や山と川と海のつながりを感じてほしい、そんな思いから今回はウニの標本作りと川遊びをメインにした内容を企画しました。

 天気は晴れ(羽方企画では珍しい・・)!週末に梅雨明けも宣言され、まさに川遊び日和。今回は流域内外から9組20名の親子が参加してくださいました。場所は、地域活力センターゆすはら・夢・未来館です。午前中にウニの標本作り、午後から川遊びというスケジュールで行います。

 ウニの標本作りの講師を務めてくださったのは、中地シュウ(海辺の自然史研究舎)さん。大月町をメインに、沿岸域に生息する生き物の調査・研究を行っています。また、海辺の生き物や植物などの自然のものを使ったさまざまなワークショップを開催する多才な方です。今回は山と川、海がどうつながっているのか、その関係性をお話しいただきながら、ウニの標本作りを行いました。海の水は川を伝って山から流れてくる、その水は海から雲ができて山に雨を降らせることでできる、山の栄養が川を伝って流れてたくさんの海の生き物を育てている、山と川と海はつながっているんだということを、子どもたちに質問を投げかけながら、分かりやすく説明していただきました。

 そして、いよいよ標本作りへ。今回標本にするのはラッパウニという、棘や卵巣に毒を持っているウニです。なので残念ながら、食べることはできません。事前に中地さんが採取してきたもののなかから、好きなウニを選んでもらいます。大きいもの、小さいもの、思い思いに好きなウニを選んだら、紙皿に取り出して、少し観察。ウニの口ってどれ?お尻はどこにあると思う?ウニの生態についても教えてもらいながら進めていきます。標本の作り方は割とシンプル、ウニを台所用塩素系漂白剤に浸して殻と棘の間にある組織を溶かし、棘を落とすことで殻だけにしてウニの標本が出来上がります。
 ここで重要になるのが、お尻を残しておくこと。お尻の部分は一番脆いので、壊れないように気を使う必要があります。まずは口周りと側面の棘を落とすように漂白剤に半分くらい浸けます。

 待っている間に中地さんがスライドで生態の話をしてくれました。ウニの仲間にはどんな生き物がいるか、みなさん知っていますか?実はヒトデとナマコがウニの仲間なんです。ヒトデは何となくわかるけど、ナマコもウニの仲間だとはびっくり。これらは棘皮(きょくひ)動物と言って、同じ形が中心から5つ放射状に並んでいる ー これを五放射相称といいます ー という特徴があります。わかりやすいのがヒトデですが、ウニはヒトデがパンパンになった状態、ナマコはウニが長くなった感じなんだそう。
 浸けているうちに、側面の棘が少しずつ落ちてきたところで、水洗いしながら歯ブラシなどで棘を落としていきます。そこから、ウニを逆さまにして口と内臓を取り除きます。ピンセットを上手に使って口を取り除き、中身の内臓も水でゆすぎながらきれいにしていきました。口はちゃんと5つあって、内臓も5つあることも確認でき、ウニのからだの不思議さを感じました。

さらにウニをひっくり返して、今度はお尻の部分を薄めた漂白剤に浸けます。ここは浸しすぎるとお尻が取れてしまうことがあるため注意が必要です。取り出して同じように棘を取り、まだ棘が残っている部分を再度漂白剤に浸してきれいにしていくと、標本のできあがり!!みなさんきれいな標本を作ることができました。生きているときは同じ色に見えたウニでも、殻にしてみると模様がちょっと違ったり、赤っぽかったり白っぽかったり、それぞれ違いがあるのだということも発見でした。ぜひ、お家で飾ったりウニランプにして楽しんでほしいですね。

 さて、標本作りを終え、お昼ご飯を食べたら今度は川遊び。場所は梼原の町中を流れる梼原川です。今回は会場から歩いてすぐ、木造のアーチ橋の下で川遊びをしました。ここで、川遊びの補助をしてもらうため、近所の影浦さんと氏原さんと合流。お2人は四万十リバーマスターにもなっていただいており、梼原川でアユ釣りを楽しむ名人です。また、すぐ近くに住む土谷さんにもカメラマンとしてお越しいただきました。土谷さんもアユ釣りの名人で、先のお二方と大の仲良し。このイベントだけに関わらず、これまでもこのお三方には何度もお世話になっています。

 大人も子どももライフジャケットを着けてもらい、いよいよ川遊び開始!流れも緩やかで適度に水深もあり見渡しもいいので、初心者にももってこいの場所です。入ってみると、けっこう冷たい…!本流の水温と比べて10度くらい低かったため、はじめは子どもたちも冷たがっていましたが、だんだん胸まで浸かり楽しそうに泳ぎだします。水鉄砲で遊んだり、水の掛け合いっこをしたり、浮き輪で流されたり、生き物を探したり、みんなそれぞれの遊び方で自由に遊んでくれました。砂利底なので川虫などは少ないですが、カワムツやウグイが泳ぎ、女の子が見事ウグイをゲット!また小さい男の子たちは慣れた手つきで草むらをガサガサし、ミズカマキリやカエル、イトトンボのヤゴなど、たくさんの生き物を捕まえて楽しそうでした。適度に水分補給を取りながら、約2時間みっちり川遊びを楽しんでくれました。

おかげさまで熱中症もなく、けがもなくイベントを無事終えることができました。今回のイベントで、山と川と海の関係について理解し、それぞれの大切さに気づいてもらえていたら嬉しいです。今回は源流域で遊んでもらったので、今度は河口域で川が海に出ていくところも見てみてほしいですね。

夏休みも始まったばかりなので、この夏は安全に気を付けながら、たくさん川遊びを楽しんでほしいと思います。ご協力いただいた中地さん、影浦さん、氏原さん、土谷さん、本当にありがとうございました。
また来年も開催いたしますので、また川遊びを楽しみましょう~!!