(若魚)

(産卵)

アユ:アユ科

Plecoglossus altivelis altivelis

愛してやまない、唯一無二の清流の女王

基本情報

【全長】20~30㎝

【生息地】北海道西部以南~南九州までの日本各地。川と海を何度も行き来する。沖縄には亜種の「リュウキュウアユ」が存在する。これは1970年後半に絶滅したと言われたが、復活の努力もあり、近年川への定着がみられるようになった。

【体】ハヤ体形。サケ目のため脂びれがある。体色は背面が緑褐色で腹部は銀白色。成長に伴い、胸びれ基部後方に黄色の斑紋が出る。かみ合わせの部分は、ヤスリのような歯が敷石状に並び、石についた藻を摂取しやすい構造になっている。うろこはほとんどないが、尺アユ(30㎝を超える鮎)になるとうろこが目立つようになる。

【生態】四万十川では、四万十市中村の赤鉄橋上流が産卵場所になっており、そこで孵化した鮎は川の流れによって、海へ下る。春先になると、群れになって河川へと遡上を始める。中流域付近から縄張り意識を持ち始め、群れから離脱し餌場として定着する。その後、夏を過ぎると成熟し秋口から産卵のため下流へ降下を始める。降下し始めたころからの鮎を「落ち鮎」と呼び、全体的に体色が黒くなる。

【食性】仔魚や稚魚の時はプランクトン等を食べ、幼魚になると水棲昆虫や水中に落ちてきた昆虫を食べるようになる。遡上するにつれて、植物食へと変化し、石や岩についた苔などの付着藻類を食べる。

鮎は美味しい!!!

鮎は昔から、川の流域に暮らす人々にとっては重要なたんぱく源であった。

昔から今に続く様々な食べ方があり、とても面白い世界だ。少し紹介したい。

  • せごし
    • 獲れたての鮎を(できれば若鮎)内臓は取ってぶつ切りにし、からしみそにつけて食べる。地域によってはキュウリともんで酢で和えて食べるとこともある。
  • 塩焼き
    • 鮎の一番おいしい食べ方。
  • 甘露煮
    • 焼き鮎を水などで戻し、酒、砂糖、しょうゆなどで長時間たいたもの。頭から骨まで食べられる。
  • 風干し
    • 鮎の干物。鮎を開いて塩漬けにし、風に干す。その後、焼いてたべる。
  • アイギョウ
    • 大きい鮎を塩に一晩漬けて、耳たぶの硬さくらいまで干す。鮎の口から塩をパンパンに詰め込み、また干し上げる。べっこう色になり、それをあぶって食べる。
  • 焼き鮎
    • 鮎を炭火で10時間以上焼き干し上げる。カラカラになるまで焼き上げて、干す。これは、出汁に使ったり、あぶって食べたりさまざまな調理方法がある。
  • うるか
    • 新鮮な鮎の腹わたを塩漬けにしたもの。卵と白子を分けて別々に漬けることもある。
  • 鮎飯
    • 焼いた鮎と一緒にご飯を炊き、鮎の身をほぐして混ぜ合わせたもの。
  • 鮎の姿ずし
    • 丸々一尾の鮎を開いて酢漬けにし、酢飯を詰め込んだもの。

たくさんの獲り方があります。

昔は鮎をとって生計を立てていた人もいた。それだけたくさん鮎がいて、たくさん獲っていたのだろう。

鮎を取る方法はさまざまで、季節や鮎の大きさ状況に合わせて変わる。

四万十川で行われている方法を少し紹介!

  • 火振り漁
    • 夜、基本的にはグループになって行う漁。網を入れて、一斉に明かり(昔は松明、今は電灯)を振りながら鮎を追い立てる。一度に大量に獲れることが多い。夜通し行われる。(参照:火振り漁)
  • 地引網漁
    • 川舟から地引網を川に張り込み、左右のロープを陸から大勢で引っ張って引き上げる漁。一度に大量に鮎が獲れることや、網を引くのに一定の人数が必要なことから、この漁は集落や村単位で行われていた。
  • しめ縄漁
    • 鮎が下流へ下るときに、川幅いっぱいに縄を張る。鮎は、縄があると下れないため留まり、その鮎を網で獲る漁法。
  • 投網・なげ網
    • 手投げ網であるが種類が様々で地域によって呼び方も様々。鮎を見つけて、網目に鮎を刺すか囲って獲る漁法。(参照:鮎の網漁)
  • 友釣り
    • おとり鮎という生きた鮎を仕掛けにつけて泳がせ、「なわばり」に侵入させる。そこで、攻撃してきた鮎を針で掛けて獲る釣り方。
  • しゃくり
    • しゃくりは泳いでいる鮎を見て、棒の先端につけた針で引っ掛けて獲る方法。
  • ころがし/ごんぶり/しゃびき/さびき
    • この漁法は非常に危険。大雨が降って増水した後、川は濁り流れが急で荒れ放題。その時、鮎たちは避難するために川岸に寄って来るが、その鮎たちを引っ掛けて獲る漁法である。

≪参考資料≫

・川の生物図典 財団法人リバーフロント整備センター

・土佐の魚のすべて 高知新聞社

・四万十川の魚図鑑 いかだ社

・沖縄県HP
https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/suisan/naisui/about_ayu.html

・四万十川西土佐鮎市場HP