先日、各市町の文景協担当者で集まって中土佐町は大野見地区の文化的景観を視察しました。昨年は中土佐町の海側、久礼の町を散策しましたが、今回は久礼から約20分離れた山側、四万十川の上流域にあたる大野見での実施。下田、松原に引き続き、「文化的景観の活用」をテーマに、4人の地元住民によるガイドのもと、大野見南地区の文化的景観を歩きました。

南地区は大野見の西側に位置し、四万十川沿いに集落を形成するのどかな地区。四万十町との町境にあり、四万十川に沿って整備された県道19号は四万十町の松葉川方面に抜けています。

景観学習会に入る前に昼食。今回の視察で訪問する集落活動センターみなみのお弁当をいただきました。(例のごとく撮る前に食べてしまう癖で写真はありません…。)集落活動センターとは行政と地域が協力して地域力の維持をはかろうとする取り組みで、県内に60カ所以上設けられており、集落活動センターみなみでは月1回のお弁当の配給をメインに、福祉活動等を行っています。

まず訪れたのは集落活動センターの上にある熊野神社。いつ建立されたかはわかっていませんが、昭和28年に524年祭が行われたとの記録が残っています。イザナギノミコトを祀り、本殿には3枚の懸仏が安置されています。参道には四万十川の河原の石が使われているそうで、綾杉文のような敷き方が特徴的で、これはこの後訪れた清泉寺でも少しだけ確認できました。久礼でつくられたという6人担ぎの立派なおみこしも保管されています。

次は熊野神社から歩いて5分、清泉寺を訪れました。集落入り口辺りの高い場所にあり、竹原集落を眺められるこのお寺は、1600年に開山されたとされていますが、お寺の墓所には中世期のものと思われる五輪の塔があるなど、正確なことはわかっていません。また600巻の大般若経も残っています。本堂と庫裏の間には板橋が架けられ池も造られていてなかなか趣がありますよ。

続いて訪れたのは清泉寺すぐ下にあるソーラーパネル設置場。すぐ近くに竹原川が流れていますが、ここは今まで氾濫したことはないそう。発電量も夏場は良好だとのことで、収益は集落のために活用されます。

最後に集落活動センターみなみが行っている活動について説明していただきました。

上でも紹介した通り、集落活動センターみなみの主な活動は月1回のお弁当と地域福祉。また、地域住民の交流拠点として、いつでも誰でも来られるように誰か一人は常駐している体制をとっています。今後は、 ソーラーパネルの収益を使って地域住民の困りごとにも対応していきたいと考えているそうです。それでもソーラーパネルの耐用年数は20年で、廃棄には200万円かかり、その分は積み立てておかなければならないとのこと。また、地域の悩みとして、神社とお寺が地域経済を圧迫しているという声もありました。地域の人口が減少していくなかで、そういった地域に残る貴重な文化財を維持することが困難になっている、だからこそ文化的景観という制度を使ってこれからどうやって地域に残る文化財を維持していくのかを考えていかなければいけない。そんななかでの住民のリアルな声でした。本来この声に応えるために自分たちは動かないかんのだと、次回からの活動につなげていきたいと感じています。