昨年の年の瀬も押し迫った12月30日のこと、四万十市西土佐の道の駅「よって西土佐」の机の上に、袋入りのずしりと重いなにかが置いてあるのをお客さんが発見し、スタッフに知らせてくれました。一見して忘れ物ではない「それ」を見て、あけようとするスタッフはいませんでした。

※↑上の文についてお詫びと訂正があります。箱が置かれていた日を12月30日と書きましたが、これは廻り回って四万十市役所西土佐総合支所に届いた日だそうで、道の駅で発見されたのは令和元年8月13日だそうです。お詫びして訂正します。(2020.02.03)

勇気を振り絞って中を確認したのは、1月号の清流通信で取材を受けてくれた マネージャーの中野徳子さん。

よって西土佐 マネージャーの中野徳子さん

袋から出てきたのは、こんな箱でした。一見して年代物と分かります。

この募金箱ですが、調べてみたら、四万十川総合保全機構(四万十川流域8市町村の首長の団体)が 平成10年に 1000個作ったミニ募金箱の一つのようです。もう20年も前のことですから、関係者でもこの箱の存在を知る人はいません。「四万十川ファンド」と書かれていますが、この「ファンド」は平成12年に四万十川財団が設立され、「四万十基金」として引き継いでいますので、寄って西土佐から四万十市西土佐総合支所へ、支所から四万十市環境生活課(四万十川担当課)を経て、私たちのところに届きました。

募金箱といっしょに、こんな手紙が入っていました。

 突然ですが、驚かせて申し訳ありません。実は30年近くなりますが、当時息子と一緒に土佐の四万十川へ行きたく、沈下橋を渡ってみたくて訪れた後、四万十川のファンになり、何かのきっかけで募金箱を受けるようになり、今日に至りました。
 時日に比べれば、中身は非常に薄っぺらで恥ずかしい限りです。買い物や何かの時に思いついては募金箱を見てというような感じで今日まで経ちましたが、全部ふさがる迄と思ってきましたが、時間は経ち機会がなかなか見つかりませんでしたが、時間と年齢を考えるといい機会だと思い、今一度四万十川を見て沈下橋を渡りたい思いで駈けて参りました。
 極々些少ですが、何かのお役に立ててください。

”極々些少”と謙遜されていますが、箱ほぼいっぱいまでお金が入っていて、決して少ない額ではありませんでした。井上記者の要望に応じて募金箱を掲げるスタッフ羽方の手が上がらなかったほどです(上の写真は中身を出した後なので問題なく持っています)。物理的な重さもさることながら、20年もの長きにわたり四万十川のためにお金をため続けて下さったお気持ちのほうが、ずしりと来るものがありました。せめて直接お礼を伝えたいのですが、手紙にお名前はありませんでした。

箱について調べる過程で、高知新聞の井上記者が高新アーカイブからこんな記事を見つけてきてくれました。ここから、平成6年、宝酒造さんが宝焼酎ピュアで四万十川キャンペーンパックを販売、流域市町、県とも協力し、県下270の小売店で四万十川の清流を守ろうキャンペーンを張ってくださっていたことも分かりました。四万十川がここに至るまでに、多くの人の思いがあったことを再確認し、それを引き継いだ私たちも先人に恥ずかしくない活動をしていかなければならないと改めて思いました。

道の駅 よって西土佐 に募金箱を置いて行って下さった方、ご寄付は私たち四万十川財団がお預かりし、四万十川の清流保全に役立つよう、20年分のお気持ちを忘れずに大切に使います。ありがとうございました。

追伸1:毎日新聞さんが2月1日の朝刊で記事にしてくれました。有難うございます。https://mainichi.jp/articles/20200131/k00/00m/040/363000c?fbclid=IwAR0VJcJh7N8_xIB-qOVbHycpnTqKU5mpd2caMz7l6yEuyIkepW2wdbjNm7g

追伸2:高知新聞さんが2月2日の朝刊で記事にしてくれました。ありがとうございます。https://www.kochinews.co.jp/article/342655/?fbclid=IwAR3Y3-4kd0ZDnVDgX9-Gi_zC5WHzXDERmJNop30CS2kMj5hmlSe_XgJMs1Y