四万十市の防災センターにおいて第18回四万十川自然再生協議会の総会があり、幹事として出席してきました。

総会に先立ち、㈱建設技術研究所特別顧問の栗田秀明先生のご講演がありました。題は「四万十川の魅力~余所者(よそもの)編~」。

栗田先生は平成三年から約10年間にわたり、四万十川の多自然川づくりに関わられた方です。講談社ブルーバックスの『川のなんでも小事典』の著者でもあります。

四万十川財団ができる平成12年までの四万十川保全活動を改めて学ぶことができました。

また、先日放送された「ブラタモリ」の検証もしていただきました。 

講演に続き、総会が行われ、令和元年度事業報告及び決算報告、令和2年度事業計画及び予算について承認されました。

総会に引き続き、協力団体の四万十鶴の里づくりの会事務局の佐伯さんから、これまでの活動とその成果について報告がありました。

内容についてはスライドを追ってもらえればお分かりいただけるかと思いますが、10年間にわたる活動で見えてきた課題についてだけ書いておきます。

渡来状況を見てもらえば分かるように、やってきた鶴が急に減ってしまう日が毎年2回あります。11月15日( 狩猟解禁日 )と、12月1日( 四万十川の落ち鮎漁解禁日 )です。鶴は鉄砲の音に非常に敏感なので、遠くの発砲音でも場合によっては警戒して越冬場所を変えてしまうようです。また、ちょうどねぐらが四万十川の入田あたり、鮎の産卵場付近なので、落ち鮎漁に来る人たちを怖がって移動してしまうらしい。佐伯さんは、入田河原に代わるねぐらを構えてやることが急務だと強調されていました。

佐伯さんのお話で面白かったのはもう一つ、鶴の暮らしのスケール感の話です。四国内ではほかに西予市で鶴の越冬が確認されていますが、鶴たちにとっては四万十川も西予市の田んぼも同一エリアと認識しているらしく、西予に食事に行って四万十川で寝たり、その逆なんかもあるらしいです。考えてみれば、数千キロの渡りをする鳥からしてみたら、直線距離100キロなんてちょっとおまちへお買い物くらいの感覚なのかもしれません。ということは、鶴の繁殖地を本気で増やそうと考えるなら、もっと広域で対策を考える必要があるということだと思います。

最後に鶴の生態をもう一つ。鶴はナワバリ意識が非常に高い生き物で、餌場では強い個体がそこを独占するそうです。でも、暗くなって寝るときだけはそのがいな個体も一緒にみんなでかたまって寝るんだとか。もちろん他の動物を警戒してのことですが、なんだか可愛らしいですね。