中土佐町大野見地域で唯一の宿泊施設である四万十源流の里。四万十川の支流、桑の又川が敷地内を流れるロケーションで、まさに自然の中に泊まれるお宿だ。リニューアルした2017年に清流通信でご紹介したが、コロナ禍を経て、新たな設備の導入や体験メニューの販売など、進化を続ける四万十源流の里の今をご紹介したい。

四万十源流の里はどんなお宿?

 今回お話を伺ったのは、支配人のマノンさんとスタッフの越智さん。マノンさんはフランス領レユニオン島出身で、日本に移住して10年ほど。おっとりした性格だが、薪づくりや屋根掃除など、外仕事も1人でなんでもこなすパワフルな女将だ。一方の越智さんは愛媛県出身。縁あって一昨年から源流の里で働くことになったそうだが、過去に観光系の仕事をしていた経験を活かして、体験プランの企画立案を行うなど、主戦力としてマノンさんと一緒にお宿を切り盛りしている。
 四万十源流の里は、四万十川上流域の豊かな自然のなかにある宿泊施設だ。敷地内には、本館、バンガロー、エアストリーム(高級キャンピングトレーラー)があり、本館には和室、大浴場がある。アウトドア好きな方はバンガローやエアストリーム、ゆったり過ごしたい方は和室など、旅のスタイルに合わせて、好きなタイプの部屋を選択できるのもこのお宿の魅力だ。

 ログハウスのバンガローは全部で11棟。2名用~12名用までのタイプがあり、どの部屋にもエアコン、ベッド、シンク、トイレが整備されている。木のぬくもり溢れる室内では、鳥のさえずりや、木々が風に揺れる音、すぐ下を流れる桑の又川のせせらぎがBGMだ。BBQ棟もあるので、晩ご飯には仲間と一緒にBBQを楽しむのもおススメ。自然の中で思いっきりアウトドアを楽しみたい方にはぴったりの環境だ。
 本館の大浴場は日帰り入浴もできる。サウナも付いているので、ゆっくり汗を流すのにはもってこい。四万十川源流域の地下水を使用した源流の湯に浸かりながら、旅の疲れを癒すことができる。

山の中でアメリカンなキャンプ!?

 さて、バンガローや大浴場については以前の清流通信でもご紹介した内容だが、現在の魅力はこれだけにとどまらない。リニューアルから約8年、源流の里は大胆に進化しながら、より”非日常”を提供できる宿を目指し続けている。
 まず大きく変わったのは、アメリカ製の高級キャンピングトレーラー「エアストリーム」の導入だ。アウトドアな旅が好きな方なら一度は耳にしたことがある方も多いのではないだろうか。丸みを帯びたフォルムの車体に、アルミに包まれた無骨なデザイン。「これぞアメリカ!」という見た目に、車好きでなくともワクワクしてしまう。源流の里では、このエアストリームを3年前に四国で初めて導入し、訪れた人にアメリカンな”非日常”を楽しんでもらっている。

「エアストリームは自走するキャンピングカーとは違って、家のように快適に過ごすことができるトレーラーです。トレーラーなので自走はしませんが、アメリカなどでは牽引車で引っ張りながら旅を楽しむという方も多いそうです。モバイルホームとも呼ばれ、室内には、机とソファ、ベッド、キッチン、冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、シャワー室、トイレが付いているので、本当に家のように快適に過ごすことができます。源流の里では3台導入しており、1台はシングルベッドを2つあるタイプ、残り2台は2段ベッドのタイプです。それぞれにウッドデッキを整備し、BBQグリルも設置しているため、小川を眺めながらアメリカンなBBQを楽しむことも出来ます。うちはアウトドアな雰囲気がベースにあるので、エアストリームの雰囲気が馴染みますし、なにより”非日常”を楽しんでもらえるのではないかと考え、導入しました。おかげさまでお客様からも好評で、日本人の方、特にアウトドア好きな方に喜んでいただけています。」

 こんな田舎の山の中に、アメリカンなキャンピングトレーラーが3台も並んでいるのは、かなり意外性のある光景ではないか。緑に囲まれた自然の中で、アメリカンなトレーラーでキャンプを楽しむ。日常ではなかなか体験できない、まさに”非日常”な時間を体験してみてほしい。

 なお、源流の里では夕食を提供していない代わりに、手ぶらでBBQというプランを用意している。これも一昨年に始まった新サービスだ。BBQと言えば、食材はもちろんBBQコンロに炭、トングやお皿などの食器類と用意しなければいけないものがたくさんあるが、大野見に大きなショッピングセンターはなく、夜になったら食材を買えるお店も閉まってしまう。そのため、源流の里が食材と道具一式を提供し、利用者が気軽にBBQが楽しめるようにと、はじまったサービスなんだそうだ。

「夜遅くに宿に着いても、周りに飲食店もないし、スーパーもない。宿でもカップラーメンやレトルトカレーは販売していますが、せっかくの旅のご飯がインスタントでは味気ないですよね。アウトドア好きなお客様が多く、ニーズにも合っているようで、おかげさまで多くの方にご利用いただいています。特に最近は若い男性グループのお客さまも多いので、仲間でわいわいBBQを楽しめるのも旅のスタイルに合っているようです。」

愛犬とともに楽しむキャンプ

 さらに最近スタートさせたのが、ペットと一緒に泊まれるバンガローの貸し出しだ。全部で11棟あるうちの1棟をペット可にし、ゲージの他、ペットシート、ペットシートトレイ、ペットボウルを完備している。また、ドッグランも併設しており、愛犬を自由に遊ばせることも出来る。ペットを飼っている人にとって、旅行中のペットの預け先が課題となるケースも多い。また愛犬家のなかには、できれば一緒に旅行を楽しみたいという方も多いだろう。この新サービスは、ペットを飼っている方であれば誰でも魅力を感じるのではないか。

「近年ペットの同伴可能な宿泊施設が全国的に増えてきているという話もありますし、実際ペットを勝手に連れてきてしまうお客さんも結構いました。以前までは、ペットは車中泊をしてもらっていたんですが、ニーズもあるのであれば、一緒に泊まれるように整備しようということになり、昨年の6月から販売をスタートしました。野外ベースの施設ですし、バンガロー1棟をペット同伴用にするだけで済むため、他のスタイルのお宿に比べて、比較的導入しやすかったと思いますね。犬種は小型犬1頭、または超小型犬2頭までということにしています。室内ではゲージに入れていただくこと、また他のお客様への配慮として、公共のスペースには連れ込まないという約束でご利用いただいています。愛犬家はマナーのいい方が多く、今のところトラブルなどは起こっていません。やはり、愛犬と一緒に旅行を楽しみたいという方は多いようで、おかげさまで反響も大きく、大型連休だと既に予約が埋まっているほどです。」

コンセプトは「非日常」

 そのほかにも源流の里では季節ごとにさまざまな体験プランを展開している。6月にはホタルを鑑賞しながらBBQを楽しむプラン、冬には薪ストーブ料理を味わうプラン、通年では貸し切りサウナの体験プランなど、内容は多種多様だがどのプランにも共通しているテーマがあるという。

「大野見は周りに大型の商業施設もなく、レジャー施設があるわけでもない、何にもない場所です。でも、だからこその魅力を感じてもらいたい、楽しんでもらいたいと思っています。本館はWi-Fiがありますが、バンガローは電波さえ届かないところもあります。ネットの情報からも遮断された、デジタルデトックスを体験してもらうのもいいかもしれませんね。情報に溢れた日常から離れて、いかに“非日常”を提供できるか、それがお客様に喜んでいただけるお宿の魅力につながっていくのではないかと思います。なので、これからもお客さんに楽しんでいただける仕掛けづくりを模索していきたいです。今はまだ構想中ですが、例えば町内外の他の施設と連携した体験プランを作れないか、など色々考え中です。ここを拠点に中土佐町を巡ってもらって、中土佐町のことを楽しんでもらえたらいいですね。」

進化による効果

 これまで源流の里の進化をご紹介したが、この進化によってお宿にはどのような効果があったのか。正直なところを聞いてみた。

「体験プランの充実化や新しいサービスを開始したことで、リピーターが増えてきたかなという印象があります。『以前ここで○○の体験をしたので、また来ました』と仰ってくださることもあり、お宿の魅力化につながっているのかなと感じています。SNS等の効果もあるのかもしれませんが、知名度も徐々に上がってきているように感じますし、OTAからの予約も増えてきました。特にうちはバンガロースタイルで、アウトドアを楽しみたい方が選んでくださっている点、あとは宿泊料が安価であることも決め手になっているのかもしれません。宿代を安価に抑えながら、食事等を楽しむといった旅行スタイルも増えてきているので、それに合っているのかもしれませんね。おかげさまで、利用客も年々伸びてきていますし、今後もお客様に選んでいただけるよう、新しい企画を考えていきたいです。」  

 進化による変化もあったようだが、時代の流れによる変化も大きそうだ。とはいえ、旅行客のニーズを考え、より非日常を味わえる仕掛けを展開してきたことで、お宿はより魅力的になり、宿泊客の増加につながっているのではないかと思う。新たな体験プランも仕掛けていきたいとのこと。自然に癒されるだけじゃない、源流の里だからこそ提供できるサービスで、もっと魅力的になっていくことだろう。みなさんも進化を続ける四万十源流の里で、ぜひここでしかできない非日常な体験を味わってみてほしい。

四万十源流の里
住 所:高岡郡中土佐町大野見神母野652
T E L :0889-57-2126
H P :https://www.natureresort.jp/shimanto
定休日:無休(3月~12月)/火・水(1月~2月)
料 金:・バンガロー…2名用:11,000円~/4名用:17,000円~/12名用:30,000円~
    ・エアストリーム…30,000円~(定員3名)

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