淡海の川づくりフォーラムに参加してきました。このフォーラムは滋賀県内の元気な川づくり団体が集うフォーラムで、どの団体の発表を見ても、「四万十川でもやりたい!」と思うほどの刺激を受けます。

淡海の川づくりフォーラムは、川や水辺に関わる活動をされるみなさんが集う公開選考方式のワークショップです。
『川や琵琶湖、水辺と共生する暮らし』『川や琵琶湖、水辺と私たちのいい関係』を築いていくための参考となる“きらり”と光る活動を公開討論によって探し、その年いちばん輝く活動をみんなで表彰します。

 なお、第15回淡海の川づくりフォーラムは、令和5年10月20日(金)~22日(日)に開催される第31回全国川サミットin守山・琵琶湖(主催:守山市、共催:滋賀県・淡海の川づくりフォーラム実行委員会)のプログラムの一つとして実施いたします。

第15回淡海フォーラム https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kendoseibi/kasenkoan/331318.html

全体発表→テーブル選考→復活選考→全体討論→各賞の発表、グランプリ発表

という流れで進みます。全国いい川・いい川づくりワークショップに感銘を受け、滋賀県版をしたいと始まったそうで、流れも同じとなっていました。

今回の参加団体は16団体です。

  • 玉一アクアリウム 
    • 明石川水系の生物多様性保全活動
      • 魚図鑑を子どもたちがオリジナルでつくっている。最近は神戸市が製本してくれるようになった。
  • 滋賀県立大学水利環境論
    • すごろく作成
      • 授業の一環で、「姉川水利すごろく」を作っている。子ども達がすごろくで遊びながら姉川を学べる形式で、マスによってはお宝カードが手に入ったり、大学生がパワーポイントで解説をしてくれる。すごろく用の旅ノートや実際の場所をたどれる工夫もある。
  • 未来生物学研究所
    • 環境保全活動を介した種の保存と理系人材の育成
      • ハリヨを研究対象にしている。ハリヨとイトヨの交雑問題がある。子どもたちに楽しんでもらえるように研究内容を紹介し、理系人材育成にもつなげている。独自の水族館も展開している。
  • 小さな自然再生ネットワーク
    • 「川あるき」等
      • 中野井川のホタル再生に向けた活動をしている。川の観察で藻が発生していることがわかり、みんなで「川あるき」をすることで駆除しようとしている。
  • 琵琶湖豊穣の郷
    • 河川清掃、生き物調査隊、ホタルの幼虫放流
      • 目田川を守る、目田レンジャーを子どもたちが結成。レンジャーの色ごとに活動テーマが分かれている。ゴミ清掃、リサイクル、ザリガニ駆除、ホタルの自生。
  • せせらぎの郷須原
    • 「魚のゆりかご水田」等
      • 田に魚が産卵をしていた環境を繋いでいきたいと川に堰上げ式の魚道を設置。生き物観察会や、環境学習も行う。国内外ともつながり、国際交流もしている。6次産業化にも取り組む。
  • NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)
    • 子どもの環境体験学習
      • 琵琶湖の環境学習を子どもたちと行う「びわ湖の研究者になろうツアー」を開催。川の見学・遊びから始め森の探検、土壌再現まで。最後には、発表会を行い、子どもたちに自ら課題を持ち答えを探す工夫を凝らす。
  • 日野川流域まもり隊
    • ゴミ拾い
      • 1人で始めた川のゴミ拾いだが、周りにどんどん人が集まり、今では18人ほどに。草刈りをしてくれる人もいて、行政はゴミの処理や袋の提供に協力してくれるようになった。
  • 海をつくる会
    • ダイバーによる湖底清掃
      • 通常は名古屋を拠点にしている。ダイバーが琵琶湖の湖底清掃をおこない、湖底状況を把握し、ゴミのデータ化もしている。
  • 京都産業大学鈴木ゼミ
    • 三条大橋の魅力発信
      • 歴史的価値の高い三条大橋の補修修景に向けた寄付を募るポスターの制作、魅力発信も行う。
  • 結いの里・椋川
    • 川の生きもの調査
      • 日本海にそそぐ椋川にはサクラマスが遡上していたが、いつしか遡上しなくなった。サクラマスを戻したいという想いから、生き物調査や観察会を実施している。
  • NPO法人瀬田川リバプレ隊
    • 草刈り、清掃、外来魚釣り、水質調査
      • 2003年から20年にわたって毎月清掃活動を続けてきた。子どもの環境学習会や他団体の企画に協力している。
  • 長浜まちなか地域づくり連合会
    • 川への関心、川で遊ぶ、地域内外の仲間、川の再生、環境と生き物
      • 地域づくりWSで出た意見を実行してみよう!と団体と協力して河川清掃、パトロール、ホタル、川床づくり、川歩きなどなど様々な取り組みを行う。
  • 山内エコクラブ
    • 生き物観察会、プランクトン観察
      • 野洲川を中心に子どもたちと生き物観察会、プランクトン観察会、水害講演会への参加、箱膳を体験するなど幅広い活動を行う。
  • 神山つなぐ公社
    • 「行こう、鮎喰川!」多世代交流と暮らしの伝承
      • 神山町では「まちを将来世代につなぐプロジェクト」の施策からの派生で、川すごろくを行った。
  • 滋賀県公園魅力向上推進室・南湖東岸ゆうゆうパートナーズ
    • 琵琶湖岸の公園管理
      • 琵琶湖の湖岸緑地にはアウトドアブームで多くの人が押し寄せ、マナーの悪さが目立つようになった。トイレ、駐車場、火の扱いなど。マナー改善に取り組む。

当日の詳細については滋賀県のこちらのページをご覧ください。
第15回淡海の川づくりフォーラム
(https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kendoseibi/kasenkoan/331318.html)

今回のグランプリは、せせらぎの郷須原。準グランプリは滋賀県立大学水利環境論と琵琶湖豊穣の郷の2つ。

子ども中心団体が3つ!個性豊か!

印象的だったのは、子どもが主体的だったことです。もちろん熱心な大人の助けがあってのことだと思いますが、子どもたち自身が考えて行動していること、何よりも楽しんでいることが伝わってきました。

玉一アクアリウムさんは、四万十川にも遊びに来てもらっていますが、とても研究熱心です。ポスターや図鑑の手書きの文字や絵は専門的で、驚くばかりです。

山内エコクラブさんは、プランクトンの観察から植物プランクトン、動物プランクトンの多さが川や時期によって変化していることを発見し、環境変化にも興味を持ち始めているようです。地域の昔を知る人にも話を聞いて、理解を深めるなど、探求を続けていると言います。保護者の方々はその子どもたちから教えられ、食べているお米に使われる農薬や農薬が自然に与えている影響に関心を持つようになったそうです。

準グランプリになった琵琶湖豊穣の郷さんは、目田レンジャーという取組が面白いと思いました。あるようでない発想で、子どもたちのレンジャーになりきる楽しさと、実際の活動への熱心さが比例していると感じました。

こういった団体から大人になって活動を続けている人もいます。四万十川でもこういった活動ができれば・・・

1人ではじめた清掃活動?!

日野川流域守り隊さん。1人で清掃活動をはじめ、今は18人ほどの仲間になり、行政からゴミ処理や袋をもらっているということでした。1人と聞いたときは、耳を疑いました。1人の力が大きな動きにつながる、会場にいる人全員が勇気づけられた発表でした。

田んぼに産卵場を戻した

漫才のような発表で一気に会場が惹き付けられたせせらぎの郷須原さん。グランプリに輝きました。発表時の掛け合いが面白いだけでなく、取り組み内容が圧倒的でした。魚が田んぼで産卵していた昔の姿を繋ぎたいと、水路に魚道をつくり、魚を田んぼに戻したのです。そこから、子どもたちとの生き物観察会、大学生たちと学習会、6次産業化の取り組み、国際交流、大学関係者と環境保全の取り組みも行っています2022年には世界農業遺産「琵琶湖システム」にも選ばれています。水路に魚道をつけるということは、農業者にも大きな負担になります。様々な苦労があったと言っていましたが、それを乗り越え、実際に魚を戻すことができた手腕に脱帽です。それだけでも並大抵のことではないのに、拡がりの大きさにも驚きました。グランプリおめでとうございます!

滋賀県はすごい

このフォーラムは滋賀県が後押ししています。琵琶湖を中心にした活動団体の皆さんの熱心さ、面白さ。住民団体の皆さんと行政の皆さんがうまくつながっているようにも感じました。滋賀県、すごいです。勉強になることばかりで、大きな刺激をもらいました。四万十川でしっかりと活かしていきたいと思います。

おまけ・琵琶湖料理

今回は、文化的景観事業の以前からのお付き合いで、東近江市の嶋田さんに湖魚料理のお店に連れて行ってもらいました。四万十川でも淡水魚は食べている方ですが、琵琶湖は別格でした!!!!美味しい、全部が美味しい。鯉のこつけ(たまごをまぶした刺身)、鯉の筒煮、鮒寿司などなど。琵琶湖の生活についても教えてもらいながら、琵琶湖をしっかり堪能させてもらいました。嶋田さん、ありがとうございました。